第23話 更なる忠誠を誓われて感激された
「じゃあ、更新しなくていいや」
俺がそう言った瞬間。
隣にいたデナの顔から、一気に血の気が引いた。
「……え?」
「ん?」
「契約を……更新しない?」
「うん」
何でそんな顔するんだ。
奴隷契約なんて、なくて困るものでもないだろう。
むしろ今まで普通に首輪をつけたままだったことの方が気になっていた。
「執事、この契約が切れたら首輪も外せるんだよな?」
「もちろんでございます。所有権を示す魔術刻印も同時に消失いたします」
「じゃあ外そう」
「ま、待ってください!」
デナが珍しく大きな声を出した。
「どうした?」
「私は……何か失敗してしまったのでしょうか?」
「は?」
「昨日の戦闘でお役に立てなかったでしょうか。それとも魔王の前で余計なことを言ったから……?」
「何の話?」
デナの唇が震える。
「契約魔術を更新しないというのは、役立たずだから出ていけと……そういう意味ではないのですか?」
ようやく理解した。
こいつ、また捨てられると思ってるのか。
「違う違う」
「では、なぜ契約を……」
「もう奴隷である必要はないだろ?」
デナが固まった。
「脚も治った。剣も振れる。魔王軍の中級兵をまとめて倒せるくらい強い。俺の護衛としても十分働ける」
「……はい」
「だったら奴隷じゃなくて、正式に俺の側近として働いてくれないか?」
「…………」
「給料も出すし、週休二日制。有給休暇もある。」
「…………はい?」
「だから給料。働くなら普通に払うし、休みもちゃんと取ってもらうから」
デナは本気で意味が分からない顔をしていた。
いや、そんなに驚くことか?
前世では当たり前だったんだけど。
「仕事させるなら対価を払う。その方がモチベーションも維持できるだろうし、長く働く気にもなるだろ?」
「エルブルス様……」
「何?」
「私は、あなたに買われた奴隷です」
「うん……そうだったね」
「脚を返していただき、剣もいただき、食事も寝床も与えていただいた」
「うん」
「その上で解放奴隷となるご提案をくださり……給料まで?」
【あとがき】
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