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第19話 魔王様に褒められてしまった

 デナに手を握られたまま二度寝していた俺は、執事のひどく遠慮がちなノックで起こされた。


「エルブルス様。魔王様がお見えです」


「…………は?」


 一瞬、寝ぼけた頭が意味を理解しなかった。


「誰が?」


「魔王様が」


 理解した瞬間、眠気が全部吹き飛んだ。


「なんで!?」


「昨日の件を、大変お喜びでございます」


 昨日の件。


 つまり、王国聖騎士団と冒険者十数人を【重力牢《グラビティ・アビス》】で奈落へ落とした件だ。


 いや、あれ事故なんだけどさ。


 しかも俺、まだエルブルスになってから魔王本人とはまともに会っていない。


 エルブルスは魔王軍の大魔導師で、魔王の腹心だったらしい。


 つまり、下手な演技をすれば一番バレる可能性のある相手でもある。


「……帰ってもらうとか」


「魔王様に?」


「無理だよね。分かってる」


 執事が妙に嬉しそうだ。


「そして、最近のエルブルス様について、とくにデナ様について確認したいことがあるそうでございます」


「デナ?」


「最近のデナ様は、実によく笑われますな」


「それが?」


「以前のエルブルス様でしたら、笑顔を見せた奴隷から順番に壊しておられましたので」


「…………」


 エルブルス、マジで何してたんだよ。


 普通に飯を食わせて寝かせただけで色々怪しまれるとは思わなかった。


 とにかく仕方なく身支度を整え、デナを連れて応接の大広間へ向かった。


 扉の向こうにいた魔王は、玉座へ座るような遠い存在ではなかった。


 黒い外套をまとった長身の影が、俺の椅子へ腰掛け、脚を組んでいた。


 その周囲だけ空気が重い。


 顔らしい場所には白い仮面が重なるように浮かび、どこから声が出ているのか分からない。


「遅いぞ、エルブルス」


「……申し訳ありません、魔王様」


「気色の悪い言い方をするな」


「え?」


「我とお前の仲だろう。今さら畏まるな」


 詰んだ。



【あとがき】


ご愛読頂きありがとうございます!

・作品のブクマ

・☆で応援(最大5)

で応援してもらえると励みになります。めちゃくちゃやる気と元気が出ます。


どうぞよろしくお願いします!

では、引き続き物語をお楽しみください〜!



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