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第53話 出発の朝

俺はガゼフさんとリエルとガジュウとマリアの前でみんなが疑問に思っていることを説明した。


俺が以前勇者のパーティーにいたこととマリアも同じパーティーの仲間だったこと。


そのパーティーでは俺はお荷物的存在で煙たがられていたこととそれを理由にパーティーを追放されたこと、そしてその後マリアたちがミノケンタウロスに敗れて逃げ帰ってきたこと。


マリアと再会したのが大貴族ラハール家からの依頼中だったことと依頼としてマリアと戦ったこと。


気晴らしに作った剣エクスカリバーが魂を持っていることとエクスカリバーの必殺技の威力が溜めた太陽エネルギーに比例していること。


「だから俺はマリアとの戦いで手は抜いていないよ、本気でやった。ミノケンタウロスを倒した時とお前と戦った時のエクスカリバーの威力が違ったのは手加減したからじゃない」

「そ、そうだったんですか。疑ってすみませんでしたバランさん」

マリアが申し訳なさそうに頭を下げる。


「それにしてもバランどのが勇者様のパーティーにおったとはのう。そんなお人が今はうちの村の村長とは元村長として鼻が高いですわい、ほっほっほ」

「でもよお、バランはそのパーティーではお荷物だったんだろ? だったら大した事ねぇんじゃねぇか?」

ガジュウは小指で鼻をほじりながら言った。

汚い奴。


「それらはあくまでも過去のことです。私は今のバランさんが好きですよ」

「なっ!? リ、リエルちゃん、その好きってどういう意味だっ?」

「あっ、いえ、べっ、別に深い意味はないですよバランさん、好きって言ったのはそういう意味ではなくてですね……えと、あの……」

「わかってるよ。俺も伊達に三十六年生きてきてないからそれくらいはわかるさ」

三十六歳のおっさんが二十歳の女性に男として好かれるとは思っていない。


俺がそう言うとリエルは小さく「……やっぱりわかってないです」とつぶやいたような気がしたがあまりにも小さい声だったのでみんなスルーした。


「わたしたちがバランさんをパーティーから追い出したんです。なのにバランさんはわたしのために一緒に冒険者の仕事を再開してくれるって言ってくれて……わたし……」

マリアが瞳を潤ませ出したので俺が話題を変えようとすると、

「もうこの話はこの辺でいいじゃろ。わしはいい加減腹が減ったわい」

とガゼフさんが口を開いた。


「そうねおじいちゃん。みなさんもご飯が冷めないうちに召し上がってください」

「おう。いただきます!」

「いただきます」

「……い、いただきます」


『じじいのくせに気が利くわね』

ガゼフさんをじじい呼ばわりすんな。



☆ ☆ ☆



リエルが洗った食器を俺が拭いて食器棚にしまっていると、

「エクスカリバーさんて女性なんですよね?」

ふいにリエルが口にする。


「女性っちゃ女性だけど……」

『何よ、なんか文句あるの』

いや、別に。


「何歳くらいの方なんですか?」

「どうだろうな、声しか聞いたことないからなぁ」

「姿は見たことないんですか?」

「ないよ。なあエクスカリバー、お前年いくつなんだ?」

俺はエクスカリバーに話しかけた。


『さあ? 覚えてないわね』

「覚えてないのか? 自分の年を?」

『私太陽の化身だって言ったわよね。太陽っていつからあると思ってるわけ?』

「え……十億年前くらい?」

『あんたってやっぱりバカね』

エクスカリバーは呆れたようにつぶやく。


「何歳って言ってましたか? エクスカリバーさん」

「うーん、わからないって」

「……そうですか」

「でもだいぶ年いってるみたいだぞ」

「そうなんですかっ」

リエルが嬉しそうな表情を浮かべた。

エクスカリバーが年寄りだとどうしてリエルが喜ぶのだろう?



☆ ☆ ☆



「じゃあ行ってきますガゼフさん。行ってくるよリエル」

「おいバラン、オレ様には言わない気か?」

「あーはいはい、ガジュウ行ってくる」

「おう、行ってこい。しばらく戻ってこなくてもいいぜ。村とリエルちゃんのことはオレ様が守ってやるからよっ」


俺とマリアは冒険者として依頼を受けるためジアスコ郡のカジカ村にある冒険者ギルドに足を運ぶことにした。


「マリアちゃん、危なくなったら逃げてもいいんじゃからの」

「は、はい。で、でも頑張りますっ」

「バランさんも気を付けてくださいね」

「ああ、リエルたちも一応気を付けてな」


こうしてリエルたちに見送られると俺とマリアはバラン村をあとにしたのだった。

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