第52話 マリアのいる朝
「おはようございますマリアさん」
「マリアちゃん。おはよう」
「おっすマリア!」
「お、おはようございますみなさんっ」
リエルとガゼフさんとガジュウに挨拶され戸惑いながらもぺこりと頭を下げるマリア。
「マリア、昨日はよく眠れたか?」
「は、はい。ありがとうございますバランさん」
そう言うマリアの目は少しだけ充血していた。
「今日からお二人で冒険者のお仕事を探すんでしたよね?」
リエルが朝ご飯のベーコンエッグを焼きながら俺とマリアに声をかけてくる。
「ああ、出来ればモンスター退治みたいな依頼があるといいんだけど」
マリアはミノケンタウロスとの戦いでモンスターとの戦闘が怖くなってしまったらしいからそれを克服するためにもモンスターと積極的に接する依頼がいい。
「なんか面白そうだな。オレ様もついていってやろうか?」
リエルが用意したサラダをテーブルの上に並べながらガジュウが言う。
こいつもすっかりうちに溶け込んでいるなぁ。
「これ、お主はわしと一緒に畑仕事じゃ」
「ちっ、わかってらあ。言ってみただけだぜ」
「はいどうぞ、マリアさん。好き嫌いはありませんか?」
リエルが出来立てのベーコンエッグをマリアの前に置いた。
「だ、大丈夫です。あ、あのわたしも何かお手伝いします」
「いいんですよ、気を遣わなくて」
「い、いえ。何かさせてください」
「そうですか。ではお味噌汁を人数分よそってもらえますか?」
「は、はいっ」
そう言うとマリアはキッチンに入っていく。
「バランどの。リエルから聞いたのですが生活費として金貨を十枚もいただいたそうで……」
「あー、すみません。これまでガゼフさんたちに甘えて水道代とかのことを全然考えてなかったものですからこれからは毎月生活費を入れさせていただきます」
「いやいや、バランどの。そんな毎月だなんて……この村では金貨十枚あったら一年は暮らしていけますわい。これ以上は受け取るわけにはいきませんですじゃ」
「いえ、リエルにも言ったんですけどお世話になってばかりでは俺自身が気持ち悪いのでそれくらいはさせてください」
「はっ。オレ様に言われるまで生活費のことすっかり忘れていたくせによく言うぜ」
テーブルの上にサラダを運び終えたガジュウが席に腰を下ろしながら俺に言う。
「うっ……」
事実その通りだから言い返せない。
「ガジュウお主か、バランどのに余計なことを言ったのは。バランどのはミノケンタウロスというモンスターからこの村を救ってくれたんじゃからお金などよかったものを」
「そうですよ。ガジュウさんのせいだったんですね」
「なっ、リエルちゃんまでそんなこと言うのかよ~」
ガジュウがげんなりと肩を落とす。
その時、
「あ、あのっ、バランさんがミノケンタウロスから村を守ったってどういうことですかっ!?」
味噌汁をテーブルの上に並べていたマリアが珍しく声を張り上げた。
「バランどのは以前にこの村を襲ったミノケンタウロスというモンスターを倒してくれたのじゃよ」
「バランさんがいなかったらどうなっていたことか」
ガゼフさんとリエルがマリアに説明する。
「ミノケンタウロスを……倒した!?」
口にすると同時に俺に目を向けるマリア。
そういえばマリアには俺がミノケンタウロスを倒したということは言ってなかったか。
「ど、どういうことですか? バランさん。バランさんがミノケンタウロスを倒した……? じ、じゃあもしかしてわたしと戦った時は手加減していたんですか?」
マリアは恨みがましい目で俺を見る。
「なんじゃ? マリアちゃんはミノケンタウロスを知っておるのか?」
「マリアさんと戦ったってどういうことですか? バランさん」
「おっなんだなんだ? 修羅場か?」
ガジュウは無視するとしてなんか面倒なことになったぞ。
「えーっと……」
「バランさん」
「バランどの」
「バランさん」
「だんまりかバラン」
『最初にちゃんと話しとかないからこういうことになるのよ』
とエクスカリバー。
お前起きてたのかよ。
『今さっき起きたとこよ。それよりもう一から全部話した方がよくない?』
……うーん、そうだな。
「えっと、全部説明します」
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