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第49話 手紙

荒野でマリアたちと別れると馬車でカバラン邸に戻り一日滞在した。

俺はすぐ帰ると言ったのだがカバランがどうしてもというので一日だけ休ませてもらうことになったのだ。

その間カバランは俺に興味津々でどうしてそんなに強いのか、自分も強くなれるか、などを質問してきた。


仕方なく俺は自分のこれまでの半生を聞かせてやった。

するとカバランは夢中になってそれをメモに取っていた。

俺が勇者のパーティーを追放された話をすると自分のことのように悲しんでもくれた。

カバランて結構いい奴かもしれない。


夜通しカバランと話をしていたので結局たいして休めなかった俺だが気分は不思議と悪くはなかった。


そして朝になった。


「バラン、ぼくちゃんも何か自分の得意なことをみつけるよ」

「そうですね、応援してます」

少し顔つきの変わったカバランが俺の目をしっかりと見て言ってくる。


「バラン様、この度は誠にありがとうございました」

「頭を上げてください、ラインバッハさん。俺は代理戦争には勝てなかったんですから」

「いえ、バラン様には本当に感謝しております」

ラインバッハさんは俺が恐縮してしまうくらい俺に何度も頭を下げてくれた。



「じゃあ俺は自分の村に帰りますね」

「はい、お達者で」

「バラン、またねー!」


深々とお辞儀をするラインバッハさんと大きく手を振るカバランを背に俺はカバラン邸を飛び立つとバラン村に帰還した。



☆ ☆ ☆



それから三日後のこと。

今度こそちゃんとお金を稼がなくてはとカジカ村のギルドへ向かう準備をしているとリエルが俺の部屋のドアをノックした。


「バランさん、バランさん宛てに封筒が届いていますよ」

「ああ、ありがとう」

俺はドアを開けリエルから封筒を受け取る。


「どなたからですか?」

リエルが顔を寄せてきた。


「えーっと……ラインバッハさんからだ」


封筒を開けると中には一枚の紙と金貨が十枚入っていた。

そして紙には達筆な字でこう書かれていた。



~バラン様へ


バラン様のおかげでカバラン様が少しだけですが男らしくなられました。

毎日自分磨きに精を出し、薪割りなどの執事の仕事も率先してやられるようになりました。

自分もバラン様のように立派な男になるのだと意気込まれております。


時間はかかるでしょうがわたくしめも温かく見守っていきたいと思っております。

もしご縁がありましたらいずれまたお会いいたしましょう。


追伸。同封した金貨はわずかばかりの感謝の気持ちです、よろしければ受け取ってください。


ラインバッハより~



「ラインバッハさんてこの間出かけていたおうちの執事さんですよね」

「ああ。この金貨は感謝の気持ちだってさ」

「感謝? バランさん何かされたんですか?」

「いや、特に何も」


金貨十枚か……。


「リエル、この金貨受け取ってくれないか」

「えっ? どういうことですか?」

「ガジュウに言われて気付いたんだけど俺これまで生活費払ってなかったからさ。これからは毎月ちゃんと払うよ。だからこれは今までの分」

金貨十枚で足りるかは微妙だけど。


「そんな、いいですよ生活費なんて。バランさんにはとてもお世話になっているんですから、気にしないでください」

「いやそれはよくない。こういうことはきっちりしとかないと俺も気持ち悪いから受け取ってくれ」

「……そ、そういうことでしたら、わかりました。ではありがたく使わせていただきますね」

「ああ、そうしてくれ」

リエルは渋っていたがなんとか受け取ってもらえた。

よかったよかった。


とそこへ、

「おーい、バラン! お前に客が来てるぞー!」

とガジュウの野太い声が俺を呼ぶ。


客?

はて誰だろう?


俺はガジュウの声がした玄関に向かう。


「っ!?」


すると玄関にいたのは神妙な面持ちのマリアだった。

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