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第43話 カジカ村の冒険者ギルド

「ようこそカジカ村へ!」


村に入るときれいな女性がまるで観光地のようにレイを首にかけて歓迎してくれた。


『何デレデレしてんの?』

してないっ。


村の中にはお店が沢山あり活気づいていた。

新しそうな建物や大きな建物もあり村というより町といった方がしっくりくる感じだった。

ガゼフさんの言う通りバラン村とは雰囲気がまるで違う。


行きかう人々はみんなどこかはしゃいでいて子どもたちの楽しそうな遊び声もあり全体的に賑やかな印象だ。

牛や豚といった家畜の姿はなく田畑も見られない。

やはりここはカジカ村ではなくカジカ町というべきだろう。



大通りを進むとギルドらしき建物が見えてきた。

冒険者と思しき恰好をした人たちが多数出入りしているのでまず間違いない。


俺は建物を前にして立ち止まる。それを見上げ一言。


「でかいな~」


村には似つかわしくないとても豪勢な建物だった。


俺は扉を開けると中に入る。

するとギルド内にいた冒険者たちの視線が一斉に注がれた。


「お、おいあれって……」

「元Sランクのあいつだよな……」

「なんでこんなとこに……」

「勇者のパーティーを追い出された奴だぜ」

「そうだバランだ、バランっ」

「マリアちゃんに迫ってたっていうキモい奴だったよな確か……」


勇者のパーティーを追い出されはしたがマリアに迫ったことなど一度もないぞ。

変な噂が独り歩きしてるなぁ。


『あんたってこんなところでも有名なのね』

嬉しくないがな。


俺は素知らぬ顔をして受付カウンターへと向かう。

受付の女性が笑顔で応対してくれる。


「いらっしゃいませ。ご用件はなんでしょうか?」

「えっと、冒険者に復帰したいんですけど……」

「復帰ですね。それではお名前と冒険者をやめた時のランクを教えていただけますか?」

「はい。名前はバランです、ランクは……元Sランクです」


俺がそう答えると周囲にいた冒険者たちがまたも口々にささやきだす。


「Sランクだってよ……」

「自分は何もしてなかったくせにな」

「仲間にひっついてただけだろ、あいつ」

「Sだなんてよく言えるな……」

「よくもオレのマリアちゃんの荷物を汚い手で持ちやがって……」


一人マリアの熱烈なファンがいるなぁ。


「……様、バラン様、聞いてらっしゃいますか? バラン様?」

「あっ、すいません」

周囲の声が気になって受付の女性が話しかけているのに気付かなかった。


「バラン様は元Sランクということですのですべての依頼、ダンジョンをこなすことが出来ますがどうなさいますか?」


冒険者は上からS、A、B、C、D、Eとランクが分けられていてランクが高いほどより危険でより難しくより報酬の高い依頼を引き受けることが出来る。また難易度の高いダンジョンに入ることも出来る。


俺は一応元Sランクなのでどんな依頼でも受けられるというわけだ。


「えっと、そうですね。手っ取り早く大金が稼げるものがいいんですけど……」


言った後にちょっと虫が良すぎたかなぁと反省したが、

「手っ取り早く、大金ですね……でしたら大貴族ラハール家の代表者として大貴族マイトノーベル家の代表者との代理戦争という依頼がございますが」

受付の女性はにこやかに返してくれた。


『代理戦争? 何それ』

とエクスカリバー。


「すいません、その依頼もっと詳しく教えてもらえますか?」

「はい、かしこまりました。こちらの依頼は少し特殊でして依頼主のラハール家の方が直接Sランクの冒険者限定でと指定なされました依頼になります」

本来は難易度などを考慮してギルド側が依頼のランクを決めるのが普通なのだがこの依頼は違うらしい。


「ラハール家とマイトノーベル家は昔からあらゆる場面で対立することが多くそのたびに多くのお金と血が流れてきたそうです。その決着をつけるためにお互いが冒険者を雇い代理戦争をさせようという取り決めが両者の間でなされたそうです」

「じゃあ俺はラハール家の代表者としてマイトノーベル家の代表者と戦えばいいんですか?」

「いえ、戦うだけでは駄目です。バラン様には成功報酬として相手の代表者に勝った場合のみ金貨三百枚が支払われることになります」

「金貨三百枚っ!?」

思わず声が大きくなってしまった。


『何それ、すごいの?』

エクスカリバーの声が頭に届く。


当たり前だっ。

金貨三百枚っていったら普通の人が一年間働いてやっと稼げる額だ。

それを一試合するだけでもらえるのか。


「その依頼受けますっ」

俺は一も二もなく引き受けた。


「かしこまりました。それではこちらがラハール家への地図になります」

言って一枚の紙をすっと差し出してくる。


「バラン様、ご武運をお祈りいたしております」


笑顔の受付の女性に見送られると俺はギルドをあとにしたのだった。

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