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第37話 ガジュウ来訪

「ここにバランって男がいるだろう、出てこいっ!」


とある日の昼間、農作業の休憩がてらみんなでお昼ご飯を食べているとだみ声で俺の名前を叫ぶ者がいた。


『……何? うっさいわね』

昼寝をしていたエクスカリバーも起きてしまったようだ。


「なんだろうねバランさん?」

「バランさんに用があるみたいよ」

「なんじゃろうのう?」


バラン村の女性や子ども、お年寄りは肝が据わっている。

こんなことくらいじゃ全然慌てない。


「ちょっと見てきますね」

と俺。

「私も行きましょうか?」

リエルが言ってくれるがそれには及ばない。


「いや、リエルもここでみんなとご飯を食べててくれ。すぐ戻ってくるから」

「そうですか。では気を付けてくださいねバランさん」

「ああ」


俺は「よいしょっ」と立ち上がると一応エクスカリバーを手にして声のした方へと向かう。


そこにいた大男は、

「久しぶりだな、オレ様を覚えているか? 当然覚えているよな」

と俺を見て口角をくいっと上げた。


「……誰だっけ?」

「なっ、紅蓮の牙のリーダー、ガジュウ様だっ!」

ガジュウと名乗った大男は声を大にする。


【紅蓮の牙】……?

あー、前にリエルと家畜をさらった奴らか……。

確か全員倒したはずだが。


「何しに来たんだ? 前ので懲りただろう」

「オレ様から盗んだ金を返せっ!」

ガジュウは大きな手を前に差し出し叫んだ。


「盗んだって……もとはといえばお前たちがうちの家畜を奪って売ったお金だろうが」

「うるせぇ黙れっ! 金を返すかあの女をよこせっ、さもなくば国に訴え出るぞっ!」

『うるさい奴ねぇ。昼寝も出来ないじゃない』

エクスカリバーが眠そうに文句を言う。


『さっさとあんな奴殺しちゃいなさいよ。それとも私がやろうか?』

お前は勝手なことするなよ。

なんとか話し合いで解決したいから。


「お前盗賊だろ。国に訴えるとか、自分で言ってて恥ずかしくないのか?」

「うるせぇ!」

「盗賊団のリーダーとしてのプライドはないのか?」

「うるせぇ!」


駄目だこいつ、会話にならない。


「金がないならあの女をよこせ、あの女はどこだっ! ここにいるのかっ!」

「? リエルのことか? いたらなんなんだ?」

「金の代わりにオレ様の……よ、嫁にもらっていく!」

ガジュウは少し言いよどんでから言い放った。

ちょっと顔が赤い。


「? お前もしかしてリエルのことが好きなのか?」

「バ、バ、バカなことを言うなっ、オレ様がこんなド田舎の村の女をす、好きになるわけないだろうがっ!」

「その割には顔真っ赤だぞ」

「う、うるせぇっ!」


その時だった。


「だ、大丈夫ですか? バランさん」

俺のことを心配してくれたのだろうリエルがそばに近寄って声をかけてきた。


「ん? ああ、大丈夫と言えば大丈夫だけど……」

「そ、そいつだっ、その女をもらっていくっ!」

リエルを指差し興奮したように声を上げるガジュウ。


『うっさいこいつ』

「あ、あのバランさん。その人、も、もしかしてまた私をさらいに来たのですか?」

リエルは不安そうに俺にしがみつく。


「なっ貴様っ……!」

「あー、そのような違うような……とにかくリエルはちょっと下がっててくれないか」

ややこしくなるから。


俺はリエルを下がらせるとガジュウに向き直った。


「き、貴様、あの女と出来てるのかっ!」

何を勘違いしたのか見当はずれのことを訊いてくる。


「そんなわけないだろ。つうかもうそれって好きって言ってるのと変わらないぞ」

「うるせぇ、黙れっ!」

「リエルはお前におびえてるから脈はないと思うぞ。わかったら帰ってくれ」

「き、貴様がいなければ……こ、殺してやるっ!」

「なんでそうなるんだよ」


ガジュウは持っていた斧を頭上に構えた。

どういう思考回路なのかわからないが俺を殺す気らしい。


「はぁ~……仕方ないな」


前より少し強めにお灸をすえておくか。


俺は「テレポート!」と唱えガジュウの背後に回り込むとガジュウの持っていた斧をそのまま軽く押し込んでやる。


「ぐがっ……!?」


ガジュウの頭に自身の斧が突き刺さった。


『あんた、話し合いで解決するとか言ってた割に結構やるわね』

そうか? 手加減はしたぞ。


ガジュウは頭から血を噴き出しそのまま地面にうつ伏せに倒れた。


『こいつ死んだんじゃない?』

「いや、まさか……」

『すっごい血が出てるわよ』

「……う~ん……ちょっと医者呼んでくるっ」


この後俺はちょっとやりすぎたと反省しつつ医者を呼びに隣町まで飛んでいくのだった。

『勇者パーティーを追い出された大魔法導士、辺境の地でスローライフを満喫します ~特Aランクの最強魔法使い~』

という小説も書いています。もしよかったら読んでみてくださいm(__)m

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