第36話 VSゾーン
俺とゾーンが村の外で距離を開けて立つ。
俺は右手にエクスカリバーを背中にスカイマントを、右腕と左腕にはそれぞれテレポートリングとダメージキャンセラーを装着した。
「いつでもいいぞ」
ゾーンが言う。
ダンッ。
俺は地面を蹴って地面と平行に飛んだ。
「っ!?」
ゾーンが目を見開く。
まさか俺が宙を飛んで距離を詰めてくるとは思わなかったのだろう。
しかしゾーンの反応は早かった。
「ヘルファイア!」
右手を俺に向け最上位の炎熱魔法で攻撃してきた。
俺は地獄の炎に真正面から飛び込んでいってしまう。
「よしっ!」
「効くかっ」
俺は炎から飛び出しエクスカリバーを振り下ろす。
だがそれもゾーンは一瞬早く反応し「スカイハイ!」と唱えると上空へ舞い上がった。
上空から俺を見下ろすゾーン。
「アイスショット!」
氷柱が空から襲い掛かってくる。
「テレポート!」
俺はゾーンの背後に回り込みエクスカリバーで横っ腹を斜め下になぎ払った。
「ぐはっ……!」
ゾーンは地面に落下していく。
「ぐっ……」
地面すれすれで浮かび上がるとゾーンは俺に向かって手を掲げた。
「エクスプロージョン!」
最上位の爆裂魔法が俺に命中する。
爆煙が辺りを覆い包んだ。
「やったか……」
「まだだ!」
爆風で服こそズタズタだったが俺自身は無傷だった。
だがスカイマントが破れたようで少しずつ高度は落ちていく。
「くそっ! なんで……なんでお前なんかがおれより強いんだっ! エクスプロージョンっ!」
「おれは魔法学院首席だぞっ! エクスプロージョンっ!」
「天才のはずなんだっ! エクスプロージョンっ!」
ドォン! ドォン! ドォン!
と強力な魔法の連打。
だがダメージキャンセラーですべてのダメージをゼロに出来る俺にはまるで効かない。
そして今度は俺が最高の一撃を放つ番だ。
俺はエクスカリバーを両手で持ち、
「ゾーン、行くぞっ!」
持ち手部分の金色のボタンを押した。
「エクスカリバー!!」
金色の光が伸びて大きな光の剣となる。
それを俺はゾーンめがけて振り下ろした。
ズズ……ズ。
「ぐおおおおぉぉっ!」
ゾーンはありったけの魔力を放ってバリアを張りエクスカリバーの光を受け止めていた。
「ぐおおおおぉぉぉぉっ!!」
しかし次の瞬間バリアは崩れ、
ズズンッ。
「うわああぁぁぁっ!!」
とゾーンの叫び声。
そして、
光が消えると地面が二つに割れていた。
『あいつは? 死んだ?』
エクスカリバーが訊いてくる。
「……いや、あそこだ」
俺は遠くの地面を指差す。
ゾーンは地面に仰向けになって倒れていた。
俺はテレポートでゾーンに近付くと、
「立てるか?」
と手を差し出した。
「……あ、ああ」
俺の手を掴んで立ち上がるゾーン。
ふらふらっとよろめく。
「おい、大丈夫か? 俺の村で休んでいくか?」
「ふっ、俺の村……か」
バラン村に目をやるゾーン。
「バラン」
「なんだ?」
ゾーンと目が合う。
「おれの負けだ」
ゾーンは深々と頭を下げた。
「ゾーン……」
そしてゾーンはしばらく頭を下げ続けていた。
さすがに長すぎると思ったので俺が「おい」と声をかけようとすると、
「……邪魔したなバラン」
とゾーンはあっさり向き直りそのまま俺の顔を見ることなく去っていってしまった。
「あっ、そういえばあいつ結局何しに来たんだ?」
『さあね、知ーらない』
エクスカリバーはそれだけ言うとまたいつものように一人眠りにつくのだった。
今回のお話で第一章完結です。
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