第35話 ゾーンの独白
「……ゾーン。こ、こんなところで何してるんだ?」
『ゾーンってあんたを追い出した魔導士? なになに、面白そう~』
エクスカリバーが楽しそうに言う。が今は構ってやる余裕はない。
「ゾーン、まさか道に迷った……わけじゃないよな?」
「あ、ええ、おれはサーチの魔法が使え……ますから。迷子にはなら……なりませんよ」
ぎくしゃくした会話が続く。
あまりにも突然の再会で何を話したらいいのかわからない。
「バラン……さん」
「バランでいいぞ、敬語もなしだ。今さら取り繕う必要はないだろ」
「あ、ああ……わかった」
そう言うとゾーンは一呼吸おいてから俺の目を見据えた。
「……この前の格闘大会、おれ見てたんだよ。遠くから見てた」
「……そうなのか」
この前の格闘大会っていうとベルーガ城でやった試合のことか。
「お、お前優勝してたな」
「ああ」
ゾーンはあの場にいたのか。全然気付かなかった。
「決勝の相手、レベル400だったな……おれらより格上だ」
決勝の相手は……剣士のダーソン。
確かにゾーンたちのレベルは300台だから格上と言えば格上か。
「お前いつの間にあんなに強くなったんだ。おれらといた時からか? もしかして強いのに隠してたのか?」
「違う。お前たちといた時は俺は弱かったよ。実際レベルも一桁だったしな」
「じゃあなんでっ、なんで優勝なんか出来たんだ! ……や、八百長か?」
ゾーンは俺から目をそらして言う。
「ゾーンはあの試合を見て八百長だと思ったか?」
「……いや」
首を小さく横に振る。
「そうか」
なんだかゾーンに認められたようで少し嬉しい。
「俺は思いがけず作ったこのエクスカリバーでミノケンタウロスを倒したんだ。それで今ではレベル150だ」
「ミノケンタウロスをっ!? た、倒したのか、あの化け物をっ!?」
「まあな」
死を覚悟していたがな。
「……ベルーガ国王から聞いただろう、おれらがミノケンタウロスに負けておめおめ逃げ帰ってきたことを」
「……」
「ふっ、今じゃすっかり立場が逆転だな」
「……」
なんて返したらいいかわからない。
『ざまあみろって言ってやれば』
言える雰囲気じゃないだろ。
「あれ以来セフィーロはおれらに強く当たってくるし、ランドルフさんは自信を失っちまうし、マリアはモンスターを怖がるようになっちまうしで散々だ」
「そうだったのか、大変だな」
みんな、そんなことになっていたのか。
「ざまあみろって思ってるんだろ。自分を追い出したせいだって」
「いや、別に――」
「言えよ! ざまあみろってっ」
ゾーンは俺の目をにらむように見つめてきた。
「……言ってくれよっ……」
『ねぇちょっと、空気が重いんだけど』
そう思うなら黙ってろ。
「……バラン、おれと勝負しろ」
「え……なんで」
「いいからおれと勝負しろっ……頼むっ」
「……」
『あんたまさか勝負する気? 男って面倒くさ……ってあっ、わかった! 追放された仕返しにあいつのこと殺しちゃおうって魂胆ね。だったら手伝うわよ』
「わかった。その代わり本気でやるぞ」
『ほらやっぱり!』
「当たり前だ。手加減なんかしたらその瞬間殺してやる」
『殺してやるだって、自分が死ぬことになるのにバカな奴~』
……エクスカリバー、空気読め。
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