第33話 ゲーバ大臣
「村のみんなに頼りにされているのは嬉しいけど責任重大だな」
俺は怒らせてしまった領主のゼニールに謝るため、空を飛んでゼニールの住むガイタホ郡に向かっていた。
ガゼフさんが言うにはゼニールはガイタホ郡出身のゲーバ法務大臣と懇意にしているのだという。
ゼニールはゲーバ法務大臣に頼んでバラン村の全員を死刑にするつもりらしいのだが本当にそんなことが出来るのだろうか。
『面倒くさいわね、ゼニールを殺せば済む話でしょ』
とエクスカリバーは言うがそう単純にはいかない。
『私なら痕跡を残さず消せるわよ』
物騒なことを言うなよな。
いくら嫌な奴でも殺すのは無しだ。
『つまんないの』
本当につまらなそうに言う。
「おっ、多分あそこだ」
俺はガゼフさんから聞いていたゼニールの屋敷を発見した。
空の上から見ても周りの家より圧倒的に大きいのですぐにわかった。
俺は地面に下りると玄関のチャイムを鳴らした。
モニターに顔が映る。
「誰だも……ってお前かもっ! 何しに来たもっ!」
「謝りに来ました」
「今さら遅いもっ! 今ゲーバ大臣をうちに呼んだも、もうすぐ来るも。そしたらお前の村なんか地図から消してやるもっ!」
まいったな、かなり頭に来てるぞ。
「話だけでも聞いてもらえませんか?」
「お前なんか一番苦しい死に方で死ねばいいんだもっ!」
話にならない。
すると見るからに豪華な馬車が俺の目の前に到着した。
中からは爬虫類っぽい顔をしたおじさんが降りてきた。
その姿をモニターで確認したゼニールが「ゲーバ大臣もっ!」と叫ぶ。
そして次の瞬間玄関の扉が開くと屋敷からゼニールがぼよんぼよんと大きなお腹をはねさせながら駆けてきた。
「ゲーバ大臣、こいつだもっ! こいつがミーに侮辱を働いたバランって輩だもっ!」
「バラン?」
ゲーバ大臣は俺に視線をくれる。
するとどうだろう、みるみるうちにその表情がこわばっていく。
「ゲーバ大臣、どうしたんだも?」
「こ、こいつは……いや、こ、このお方はベルーガ国王と旧知の仲の元Sランク冒険者バランどのですっ」
「な、ど、どういうことだもっ!?」
「わたしは帰らせていただきますっ。バランどの、いやバラン様、ベルーガ国王にはこのことはぜひ内密にお願いいたしますっ、すみませんでしたっ」
ゲーバ大臣は何度も何度も頭を下げると平身低頭そのまま後ろ向きに馬車に乗り込みゼニールの屋敷を慌てて去っていった。
残された俺とゼニール。
「お、お前はベルーガ国王の知り合いなのかも?」
「え、ええまあ」
「お、お前は元Sランク冒険者も?」
「一応」
「…………こ、これぐらいで許してやるもっ」
ゼニールはそう言うと屋敷の中に駆け込んでいってしまう。
「あれ? なんかわからんけど許してもらえた……?」
この翌日バラン村の税金が半分になったことがゼニールからの電報によって知らされた。
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