第22話 休息
優勝賞金である金貨百枚を手にした俺は文字通りバラン村に飛んで帰るとガゼフさんにそれを丸々渡した。
「そのお金で牛や豚を買い揃えてください」
「し、しかしこんな大金すべて村のために使ってよいのですかな?」
「もちろん。そのためにベルーガ城まで行ってきたんですから」
「おお、バランどのはやはりこの村の村長にふさわしいお方ですじゃ。わしの目に狂いはなかったですじゃ」
ガゼフさんは俺の手を強く握り上下に振る。今にも泣きだしそうなテンションだ。
「リエルや、一緒に来ておくれ。早速隣町まで行って家畜を買ってこなくてはのう」
「はい、おじいちゃん」
リエルは返事をすると俺に向き直った。
「バランさん、村のみんなを代表して言わせてください。私たちのためにどうもありがとうございました」
きれいに体を曲げお辞儀をするリエル。
「これで村長として村のみんなに認めてもらえるかな?」
「え、そんなこと気にされてたんですか? ふふっ、バランさんはとっくに認められていますよ……では行ってきますね、帰りはちょっと遅くなるかもしれませんから先にお休みになっていてください」
そう言ってリエルはガゼフさんとともに隣町に出かけていった。
『あんたもお人よしっていうかバカっていうか、せっかくの賞金全部あげちゃうなんてどうかしてるわ』
とエクスカリバーの声が頭の中に響く。
「いいんだよ。ここが俺の居場所なんだから」
『何それ? 全然かっこよくないし』
家に一人きりになった俺は昨日の朝からずっと起きっぱなしだったことを思い出すと自室に入りベッドに横になった。
疲れていたのだろう、すぐに眠りにつく。
☆ ☆ ☆
「おじさん起きてよっ!」
「バランさん、バランさん起きてください!」
「……ぅんん……」
耳元で大きな声がして目覚める。
「母ちゃん、おじさん起きた!」
「バランさんっ」
目の前にはザジーとザジーの母親の顔があった。
「……どうしたんですか? 二人して」
俺はくっつきそうな目を意識的に開ける。
それにしてもいくら田舎の村とはいえ勝手に部屋まで入ってくるなんて何事だろう。
するとザジーの母親が慌てた様子で言い放った。
「リエルちゃんが……リエルちゃんがさらわれたんですっ!」
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