第21話 閉会式
「それでは優勝したバラン選手にはベルーガ国王から直々に優勝賞金の授与を行います! ベルーガ国王、リングにお上がりください!」
「おおーっ!」
「国王様ー!」
「ベルーガ国王!」
ベルーガ国王がリングに上がると観客席から割れんばかりの歓声が巻き起こる。
やっぱりベルーガ国王は国民から慕われているなぁ。俺とは大違いだ。
「ベルーガ国王、賞金をどうぞ」
司会を務めるキスギさんがベルーガ国王に優勝賞金を手渡そうとするがベルーガ国王はそれを受け取らないまま俺に向かってきた。
そして、
っ!?
ベルーガ国王が俺に向かって深々と頭を下げた。
「なんだっ? どういうことだ?」
「なんで国王がバランにっ?」
「何してるのかしら、ベルーガ国王?」
観客たちがざわめく。
「……バランよ、わしの息子セフィーロがお前にしたことを謝罪したい。悪かった、この通りだ」
威厳のある声でベルーガ国王が口にする。
「先日セフィーロたちがダンジョンで深手を負って戻ってきた。わしはお前がいてくれていたらそんなことにはならなかったんじゃないかと思っている」
「……いや、そんなことはないですよ」
昔は幼なじみということでタメ口で話していた時期もあったが今はそういうわけにはいかない。
俺は敬語で返す。
ベルーガ国王は顔を上げ俺を見て、
「セフィーロたちには正式に謝罪させる。あいつらにはお前が必要なのだ、紅の旅団に戻ってくれないか」
「セフィーロたちに言われたことは事実ですから謝ってもらう必要はないですよ」
「いいや、断じて事実などではないっ」
首を振る。
「わしがお前をセフィーロの仲間にしたのはお前の鍛冶職人としてのスキルを買っていたからだ」
「……そ、それは本当ですか? 俺がベルーガ国王の幼なじみだからじゃなくてですか……?」
「やはり今までそう思っておったのか」
「……はい」
「バランよ、頼む。バカ息子どもを見捨てないでやってくれ」
ベルーガ国王は再度頭を下げた。
「……」
『勝手なこと言うわね、この白髪ひげのおっさん』
エクスカリバー、お前は黙っててくれ。
『あんたを追放した奴の父親でしょ。まさか戻ったりしないわよね、あんた』
……わかってるさ。
俺は答えに詰まる。
正直俺を追い出したセフィーロたちのことは今でも時折気になっていたからだ。
……しかし、
「……すいません、ベルーガ国王。その言葉は嬉しいですけど、俺には新しい居場所があるので」
「……ふむ、そうなのか……残念だ。だが、仕方ないな」
そう言うとベルーガ国王はキスギさんから賞金を受け取り俺に渡してくれる。
「優勝おめでとうバラン」
「ありがとうございます」
俺とベルーガ国王は固く握手を交わした。
「え、えーこれにてベルーガ国王主催の格闘大会を閉会したいと思います! 皆さん最後までお付き合いいただきありがとうございました!」
「おおおーっ!」
「バランよくやったぞー!」
「おっさん、やるじゃねぇか!」
大歓声とともに拍手が起こる。
そんな大歓声の中ベルーガ国王が子どものように破顔した。
「おい、バラン。たまには城に顔を出せよな。昔みたいに語り合おうぜ」
「……そうだな、気が向いたらな」
俺たちは昔の口調で別れの挨拶を済ますとお互いに別方向に向かってリングを下りたのだった。
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