第20話 決勝戦
決勝戦が始まった。
決勝の相手はレベル400の剣士ダーソン。
ダーソンは開始の合図を聞くと左手で剣を抜き右手を背中に回した。
「なんのつもりだ?」
「一回戦を見ててわかったけどあんた剣術習ったことないだろう」
「うっ……それは」
「まあそれは鍛冶職人だから仕方ないとしてもあんたの持ってる剣はレプリカだろ。どういうつもりか知らないけどそんな剣相手に本気出したらあんたを殺しちゃうからね、ハンデだよ」
「そりゃどうも」
ずいぶんとなめられている。実際レプリカだから仕方ないけど。
でもむしろこれはチャンスととらえるべきかもな。
レベル400のとんでもない奴が利き手を使わずに戦ってくれるのだから。
俺は腰のエクスカリバーを引き抜くと振り上げながら距離を詰めた。
アントワネットとダーソンの見よう見まねで剣を振るう。
しかし俺の攻撃はすべて剣でいなされる。
ダーソンは余裕の表情を崩さない。
「やっぱり素人だね」
そう言うとダーソンは剣を俺のお腹に軽く突き刺した。
「!?」
その刹那ダーソンが怪訝な表情を浮かべた。
剣を引き抜くと、
「血が出ていない? ……確実に刺したはずなのに」
俺の顔を見る。
「どういうことなんだ?」
「俺は鍛冶職人だぞ。物理ダメージを無効化する防具だって作れるんだ」
腕に装備したダメージキャンセラーのおかげで痛くもかゆくもない。
「へー、じゃあおれが本気を出しても死なないってことか」
二度三度うなずくとダーソンは剣を右手に持ち替えた。
そして素早く斬りかかってきた。
「うわっ」
いくらダメージがゼロになるとはいえ斬られるのはやっぱり怖い。
エクスカリバーで防ごうとするも全然追いつかない。
「ダメージを受けないなら場外に出せばいいだけだろ」
アントワネット戦の時と同様リング際に追いやられていく。
「これで場外だっ」
ダーソンはとどめの一撃を放ってきた。
俺はそこで空へと回避する。
「何っ!?」
「おおっ!?」
ダーソンと観客たちが驚きの声を上げた。
「ふぅ……ここならお前の剣は届かないだろ」
「……」
ダーソンは無言で俺を見上げている。
これで俺の負けはない。しかし勝つ方法もない。
どうするか……。
頭を悩ませていると次の瞬間、強い衝撃が俺の体を襲った。
一瞬頭がくらっとして落下しそうになる。がなんとか持ちこたえた。
「ぐっ……」
何が起こったんだ?
俺はダーソンを見下ろした。
するとダーソンは剣を振り抜いていた。
「剣士だからって遠距離攻撃がないわけじゃないよっ」
言うなり俺めがけて剣を振るう。
剣の届く距離ではないのに衝撃波が飛んでくる。
「ぐわっ……!」
またも強い衝撃が体を襲った。
一瞬意識が飛び、気付くとリングが目の前に迫っていた。
ドンッとリングに落下してしまう。
頭はまだくらくらしている。
「さあ、今度こそおれの勝ちだね」
震えるひざに手を当てなんとか立ち上がるがもう負けを覚悟していた。
だがその時だった。
『ふぁ~あ、よく寝た~……って、あんた何してんの?』
エクスカリバーの声が頭に届いた。
「あっお前、今まで何してたんだ! うんともすんとも言わないでっ」
『寝るって言っといたでしょうが』
「寝すぎだっ」
「おい、大丈夫かあんた? 頭の打ちどころが悪かったか……?」
ダーソンが眉をひそめ俺を眺めている。
「あ、ああ。大丈夫、ただの独り言だ。珍しいことじゃないから気にするな」
「そうか。なら再開するよ」
またも攻撃を仕掛けてくるダーソン。
俺はふらふらの体でなんとか耐えしのぐ。
『なんでボタン押さないのよ。あんた負けそうなんでしょ』
だからあの光を出したら殺しちゃうだろうがっ。
エクスカリバーには持ち手部分に金色のボタンがあり押すと太陽エネルギーを放出出来る。
だがあまりにも強力なため人間相手には使えない。
『こいつ強そうだから多分死なないわよ』
多分じゃ困る。
『煮え切らない男ね。もういいわ私がやるっ』
「わっ、ちょっとやめ――」
ゴオオオオッ!!
俺の制止も聞かずエクスカリバーがダーソンめがけ勝手に光を放った。
「うぐっ……!?」
ダーソンは瞬時に光を剣で受ける。
だが光はさらに強くなりそして強烈な光が辺りを包むと、
「うわああぁぁっ……!!」
ダーソンごと飲み込んだ。
……あ、終わった。
ミノケンタウロスの時はこれで蒸発したんだ。
ダーソンも今ので確実に死んだはず。
せっかく観客から見直されたっていうのに今度は人殺しの汚名を被らなきゃいけなくなる。
徐々に光が薄れていく。
と、ダーソンがリングからきれいさっぱり消えていた。
やっぱり蒸発してしまったか。
そう思ったが、
『ほら、見なさい。あいつ生きてるじゃない』
エクスカリバーの声が耳に届く。
「生きてるだって?」
よく見るとダーソンは太陽エネルギーで蒸発することなく場外に倒れていた。
「……うっ……ぐ」
エクスカリバーの言う通りダーソンは確かに生きている。
「ははっ……よかった」
俺は安堵から全身の力が抜けてリングにへたり込んだ。
その俺に近付いてくるキスギさん。
そのキスギさんは俺の手を掴むと高らかに宣言した。
「ベルーガ国王主催の格闘大会、優勝はバラン選手です!」
【作者からのお願い】
「面白いかも」と思った方は、
広告の下にある☆☆☆☆☆からの評価や、ブクマへの登録をお願いいたします!
皆様が思っている何百倍も執筆の励みになりますので、何卒お願いいたします!!




