懐疑心
引き続き宮視点です。
先生は家まで迎えに来てくれた。私を抱き上げて車に乗せてくれる。
「宮さんは軽いですね。もっと食べないと駄目ですよ。」
「ふふ、分かりました、先生。」
「今日は先生ではありません。ただの高梨圭介ですよ。」
「じゃあ圭介さん。」
「はい。宮さん。」
なんだかくすぐったい。今日は美術館に行ってお茶をして帰るのだ。
美術館にはすぐについた、展示のテーマは退廃で暗いものが多かった。
「壊れいくものが最期に見せる美だね。」
「そうですね、でも私には難しいです。」
「ごめんね、趣味に付き合わせてしまって。」
「いえ、でも見ていて面白いです。」
「それなら良かった。」
それから先生が車椅子を押してゆっくり見て回る。久しぶりに病院でも家でもない外に、連れ出してくれた先生に心から感謝した。それから美術館を後にして喫茶店に入った。
先生が軽く食べましょうとメニューを差し出したので、私はミルクティーとタマゴサンド、先生はフルーツジュースとカツサンドを頼んだ。
「昨日何があったんですか?」
「母に八つ当たりしてしまったんです。」
私は素直に質問に答えた。
「そうだったんですか、原因は通院をやめる件だね。あなたの幼なじみは君に傾倒していますね。」
「そう、ですかね。」
「ええ。君はそれでいいんですか?自分のことを自分で決めずに、幼なじみにおんぶに抱っこでいいんですか?」
「…」
「ごめんね。嫌な言い方をしてしまったね。でも君は辛くないかなって。」
「そうちゃんは私を一番に考えてくれています。だから…」
「君がいいならいいんだ。君は悪くないんだから。さあサンドイッチがきたよ。食べようか!」
そういって食べ始めた。私は食べることしかできなかった。なんだか私、今呆れられた?私ってそうちゃんの負担でしかないのかな。やっぱり。先生は全く違う話をし始めたけど、私の耳には入ってはこなかった。
「だからね、聞いているかな?」
「あっはいすみません。」
「じゃあ今から家に寄るね。」
「えっ。」
「やっぱり聞いてなかったね。君が気になると言っていた本を、持ってるから家に取りに寄るよって言ったよ。」
「ああ、すみません。」
「食事も済んだし帰ろうか。」
私はまだ気分が晴れないまま車に乗せられた。




