幸せの証明
今回も視点が変わります。かな視点となります。
家に戻るとしょうはさっそく仕事を始めた。私はしょうのためにコーヒーを淹れ机に置いた。ありがとうとだけ言って一口飲んで、また絵を描き始める。リビングで仕事をするしょうを見るのが好きだ。しょうはいつも私を1番に考えてくれて甘やかしてくれる。でも本当のことは言ってくれる無茶なことはしない、だからこの仕事ももう終わるだろう。
宮が足を失ってから7年が経った。宮は家から出してもらえなくなって、時が止まったように感じているに違いない。蒼真君もおばさまも宮を失いたくないあまりに、宮の意思を聞くこともしない。
「かーな。怖い顔してるよ。宮ちゃんのこと?」
「しょう、宮って蒼真君のこと好きなのかな。それに幸せなのかな?」
「急にどうしたの?」
「私、宮の心から笑った顔もう全然見てないの。」
「そっか。けど蒼真のことは好きでしょう。だから一緒にいるんでしょ。」
「そうよね。」
しょうって本当に単純なのよね。でもそういうところが好き。蒼真君もこうならよかったのに。しょうはいつもとことん話を聞いてくれる、だから嘘を吐いたり自分をよく見せたりしない、私の嫌な部分を知っても好きでいてくれると信じているから。
でもあの二人は何も話さない、思っていることを何も口に出さない、嫌われるのが怖くて、心を見られて離れられるのが恐ろしくて勿論、私たちみたいなのはあまりいないと思うけど、あの二人は互いを信用しなさすぎだ。私は宮に幸せになってほしい。蒼真君とはきっと。いややめよう、これ以上は二人の問題だから私が口出しするべきではない。
「かなちゃん、あの二人はね一緒にいることで、罪を償いあってるんだよ。そうすることでしか一緒にいることができないと思ってるんだ。哀れだよね、でも一番許せないのは二人とも優しいことだ。優しいからきっとこの方法は、お互いを深く傷付けることになる。傷付き疲れたとき、僕たちではどうもしてあげられない、二人でしか癒やせないのにまた傷付くんだよ。」
「しょう?」
「だからねかなちゃん、俺たちは一緒にいよう。俺かなちゃんと一緒に幸せでありたい。」
しょうは私以上に、宮と蒼真君の幸せを望んでいるのかもしれない。私は何も言わずにただしょうの手を握りしめた。しょうも強く握り返してきて私の肩に顔を置いた、泣いているのかもしれない。私はこの人を、この幸せを失いたくないとそれだけを考えていた。




