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誰も望まぬ約束


 俺たちは、病院を出て車に戻っても口をひらかなかった。様々な感情を腹に抱えて、ただそれぞれじっと座って洋館に着くのを待った。俺はただあの中年の医者の言葉を繰り返していた。あのくそ野郎が!

でも今は他の人間の事を考えている場合ではない。宮は何を思っているのだろうか、宮の方へ視線を向けるとただ窓の外を見つめていた。ついさっきまで普通の高校生だったのに今は感情を感じられない瞳で外を眺めている。俺は辛くなって宮から視線を逸らした。

 車が洋館につくと宮が1番に口を開いた。


「そうちゃん今日はごめんね。私は大丈夫だからもう帰っていいよ。また明日ね。」


 宮は肩を震わせながらただ俺にそう言った。さっき迄堪えていただろう涙が落ち続ける。どうして、どうして宮がこんな目に遭わなくてはいけないんだ。俺は宮の小さな体を抱き寄せてもう誰にも傷付けられないように強く抱きしめ、


「宮、俺はこれからずっとお前を守るよ。もう何者にもお前を傷付けさせない。」


 宮は一瞬びっくりして少し笑って、


「もうやめてよ勘違いしちゃうでしょ。」


「勘違いじゃない、結婚しよう。今すぐにではなく、俺が仕事に就いたら結婚しよう。」


 俺は宮の返事を待つでもなくただ宣言した。宮は困ったように笑ってとうとう最後まで返事をしなかった。


 それから俺は必死に勉強して大学へ行き国家公務員の試験をパスして警察学校に入った。


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