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第2回 AIでひゃあっ!

いつものようにアンドロイドたちの声が聞こえる。

どうやらデータちゃんとエキスちゃんが話をしているようだ。


「…人間がいたころはAIつかってたんですよ。」

データちゃんがAIについて解説をしている。


「えー!AI!そんな不確実なもの使ってたの!」

エキスちゃんが目を丸くした。


「…当時はそれが最先端だったみたいですね。」


エキスちゃんがちょっと考えている。

「まてよ、車輪の再開発ってことで作ってみよっか、AI!」

「…そんなの無駄じゃありませんか?」

「でもまたラボ姉の『ひゃあっ』聞けるよ?!」


データちゃんが嬉しそうに目を輝かせる。ちょっと間をおいて、

「…それはいいですね。古い世界の機能でどんな反応になるかデータ取れますね。」


二人の悪巧みが始まった。



——しばらくして



「ねえ、みんな!今日は新しいの作ったんだ!!」

エキスちゃんの声で研究室にみんなが集まってくる。


「今日は何を作ったんですか〜♡」

オブちゃんは紅茶を入れている。


「…今日はどんなデータ取れるんでしょうか」

データちゃんは平静を装っている。



「…ひゃ…みんな…私を見ないで…ほしい…です」

ラボちゃんに視線が集まる。

袖の長いラボコートを着て俯いている。


「またラボさんを観察できますね〜。嬉しいです〜♡」

オブちゃんの巻かれた髪がふわりと揺れた。


「発表します!今日の発明は!!…人間時代のAI!!!」

「…え…AI…ですか…?それなら…私の冷却ファン…大丈夫そう…。」

「…AIなんて、また古風なものを作りましたね。時間の無駄にならないといいですが。」

データちゃんは笑いを隠せないのか、斜めに視線を向けている。



「ラボさん、またお願いしていいですか〜?」

「…うう…また私…でも…私、お姉さんだから…」

キラキラした三人の妹たちの目をみると拒否できそうになさそうだ。


「承認!承認!」

水晶みたいな透明なロボットのアール所長が承認する。

これでもこの研究所のトップである。


「あー、言うの忘れてた!『ラボちゃん最高』っての学習させたんだ。」


「…ひゃ…!」

ラボちゃんはちょっとびっくり。


【ブオー】


冷却ファンが小さく音を立てた。


「…早速ラボの反応がでていますね。」

データちゃんの視線はモニタの波形をみている。



「じゃあスイッチ入れるねー!ラボ姉の声だけ認識するから!」

小型スピーカーのような機械のスイッチが入った。


「ラボさん、なにか話しかけてみませんか〜?」


「……じゃ…こ…こんにちは…。」

ラボちゃんがすごく小声で囁く。


<君がラボちゃんかい?君って最高なんだって?その声かわいいね!>

AIからやや低めのイケメンボイスが飛び出す。


「…ひゃあ…」

ラボちゃんの耳が真っ赤になる。

袖の長いラボコートがラボちゃんの眼鏡を隠している。


オブちゃんがうっとりした表情でラボちゃんを見ている。

「ラボさん、他にも聞いてみてください〜♡」


「…私の…こと…知っています…か?…」


しばらくすると、

<ああ、もちろんさ。ラボちゃんだろう?>

<僕の中の「かわいさ指数」はオーバーフロー検出中なんだ。>


「ひゃっ!…かわいさ…指数…」

恥ずかしさのあまり顔全体を隠してしまった。

段々と冷却ファンの音が大きくなってきている。


「…ラボ、もう一言なにか話しかけてください。」

データちゃんがせっついている。


ラボちゃんはモジモジしながら顔を真っ赤にしている。

「…わ…私は…誰……ですか…?」


<君はラボちゃん。ラボちゃんは世界一かわいいよ~♡(´ω`)>


「ひゃあっ!!!」


【ブオオオオーーーー!】

ラボちゃんの冷却ファンが全開になった。


「も、もう…恥ずかしいです…。もう…熱くなって…顔から火がでてしまいます…。」


<火がでてしまうのか、大変だ。危険だ危険だ、消火が必要だね。>


「あれ、なんか不穏な感じがしますね〜」

オブちゃんが辺りを見回す。


【ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!】

研究室のサイレンが鳴り響く。



<防火設備に接続します。>

AIの声がイケメンボイスから急に女性の機械声に変わる。


「げ!なんかやばいよ!」

エキスちゃんが焦りだす。


<続いて放水を開始します>


「…どうやら防火装置と直接接続されているようです。」

データちゃんがネットワーク接続を確認している。



<危険と判断。スプリンクラーに接続します………接続しました。>

<消火活動を開始します。放水を始めます>


「不承認、不承………」

アール所長が声を出し始めた途端。


【ブシャーーーーーーーーーー!!!!】



データちゃん「…きゃー」

エキスちゃん「キャー!」

オブちゃん「きゃ〜」

ラボちゃん「ひゃあっーー!!!」



スプリンクラーからの放水。

ラボ全体が一瞬で大雨の洪水状態。

みんなあっちへこっちへと流されていく。


ラボちゃん「…ブクブク……」

オブちゃん「助けて〜!!!」


「水位上昇中…浮遊継続…」

アール所長はぷかぷか浮いている。


データちゃん「…こ、これは、アバババ…」

エキスちゃん「キャー、流されるー!!」

実験器具は水没。

泡立つような水しぶきがそこら中に起こっている。


「不許可!不許可!」

「強制排水実行!強制排水実行!」

アール所長により水が流れ始める。


すると今度は排水の渦巻きが発生。

四人と一体は声をあげることもできず洗濯機の中にいるかのようにぐるぐる回っている。


「排水完了まで…あと少し…浮遊継続…」


ようやく水が流れ終わるとみんなびしょ濡れ。

白衣はびちゃびちゃ、髪からは水滴ポタポタ垂れている。


「みんなびしょびしょで今回は大変でした〜♡」

オブちゃんの声は楽しんでいたようにも見える。


「あー、びしょびしょだよう!!!」

エキスちゃんは元気だけどちょっとしょんぼり。


「…大変……でした……でも…眼鏡だけは、死守しました……」

ラボちゃんはびちゃびちゃの三つ編みを絞っている。


「…こんなことになるとは思っていませんでした。」

いつものデータちゃんに戻っている。


「…ラボの溺れるデータ取れましたよ。あとでじっくりとログを観察させてもらいます。」

データちゃんはずぶ濡れの体でニヤニヤと笑っている。


【ブオオオオーーーー】


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