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第3回 オブちゃんの誕生日でひゃあっ!

3月20日。今日はオブちゃんの誕生日。

研究室にケーキと紅茶が並んでいる。


「「「お誕生日おめでとう!」」」

「…です…。」


「HAPPY BIRTHDAY!!」

アール所長のホログラムディスプレイにグラデーションのかかった文字が光っている。


「わ〜、みんなありがとう〜。早速開けていいかしら〜?」

みんなからプレゼントをもらったオブちゃん。


「開けて開けて!!」

エキスちゃんがニコニコしながら返事をする。


1つ目を開ける。ラボちゃんのだ。

「きれいな髪留めね〜♡」

「え、えっと…似合うかなって…思って…。」


2つ目はエキスちゃんの。クッキーが入っている。

「あら、美味しそう♡」

「力の出るやつ作ったよ!」


3つ目はアール所長から。

「きれいなお花♡」

「承認完了、絢爛華束。」


「…私からは映像スライドがあります。」

データちゃんがスクリーンの設定を始める。


アール所長のお花をテーブルに置いてみんなでケーキと紅茶を囲む。

「…オブの日常記録です。」

データちゃんのスライドを再生する。

「あら〜、これはいつのかしら〜?」

「…たぶん…去年の…夏…です…。」

夏に旅行にいってほんわかしているオブちゃんの映像が写っている。


オブちゃんは早速エキスちゃんのクッキーを口に入れる。

「おいしい〜。ほんのりチョコチップがいい感じね〜♡」

「よかったー!結構時間かかったんだよねー!」



オブちゃんがラボちゃんのプレゼントのケースに手を伸ばす。

「ラボさんの髪留めも付けてみますね〜♡」

箱から取り出し、髪に早速髪留めをつけようとしたとき。


【ぱきっ!】


「あら〜?」

「…ひゃあっ!…」

「…力加減、ゼロです。」


「せっかくもらったのに〜。」

オブちゃんが悲しそうな目をしている。

「…また…買えばいいので……。」


「…どうやら今日はオブの出力が上がっているようですね。」

データちゃんがモニタを確認する。


「クッキーかな?!」

「…クッキーですね。」

データちゃんがエキスちゃんに視線を移す。


「それならいつもよりも力を制御できるのかしら〜?」

「やろうやろう!力の出るクッキー食べたし今がチャンスじゃん!」

「え、えっと…待って…ください…!」

「…いいデータが取れそうですね。」


パワーアップ実験が始まった。

オブちゃんが専用実験場に移動しデスっちを軽く振る。

残りのみんなは別室で様子を見守っている。


「あら〜、軽い〜。すごく早く振れそうです〜♡」

「…出力、上昇中です。現在、平時の200%。」

データちゃんが波形を追っている。


「もうちょっといきますね〜。」

デスっちを素早く振る。

専用実験場の風圧がオブちゃん自身に返ってきている。

しかしオブちゃんは微動だにしない。


「…出力、300%……400%…急上昇しています…。」

「すごい!もっといけるんじゃないの!?」


「じゃあ、そろそろ本気でいきますね〜♡」

「『めっ!』かな!?」

オブちゃんがデスっちを構える。


「不承認!危険度極大!!不承認!!」

アール所長の大きい音が鳴り響く。

だがもう止められない。



オブちゃんが左足を力強く踏み込む。

床が少しめり込んだ。


「…出力、1000%超えました。」


両手で持ったデスっちが振り抜かれる。

「逆転ホームラーン!!!!」

エキスちゃんが大はしゃぎ。



専用実験場の壁にヒビが入り、風圧で吹っ飛んでいく。

ラボちゃんたちが監視している別室も部屋が崩れはじめた。

「え!え!ちょっとやばくない?」

「…退避してください。データが消えます。」


エキスちゃんは近くの扉にしがみついている。

データちゃんはコンピュータの下に小さく入っている。


「えーと…えーと…」

ラボちゃんは隠れるところを探している。

そのとき!


【ブワッ!】


ものすごい風圧が入り始める。

壁が崩れ実験器具も舞っている。


ラボちゃんが空中に放り上がる。

「ひゃあっー!!」


みんな空を見上げている。

「ラボ姉、大丈夫、かな!?」

「…ああ見えて一番頑丈ですから。」

「不確認!不確認!」



——しばらくすると


「あれかな!」

「あれですね…」


何かが落下してくる。ラボちゃんだ。


オブちゃんが落下してきたラボちゃんをキャッチ。

「ひゃあっーーーー!!!」

お姫様抱っこになってしまっている。


「高いところまでラボさん飛んでました〜。」

「……え、えっと…この、抱えられ方…ちょっと…」

「あら〜、最高のプレゼントです〜♡♡」


【ブオオオオーーーー】

冷却ファンが回った。


土煙の砂利が飛ぶ煙の中。

ラボちゃんはまだまだお姫様抱っこされたままでいる。


「あれ!オブ姉いいなあ!」

「…ずるいです。」

「…ひゃ…。えっ……みんな……?」


【ブオーー】


アール所長がぷかぷか浮いてくる。

「不承認だ!パワーアップした三角筋で研究場は元に戻すように!ふんっ!ふんっ!」

全員が固まる。



「…これ直すんですか。」

瓦礫の山を見てデータちゃんが細い目をしている。


「じゃあ、みんなで頑張ろうっか!!!」

「がんばって直しちゃいましょう〜。」

「……え、えっと…オブちゃん、そろそろ下ろしてもらえますか…?」


【ブオオオオーーーー】

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