表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「サン・ジェルマン並行宇宙を行く」(セーラー服と雪女 第22巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/31

㉚ ウルフィは語る

「獅子王と虎王からのお誘い、さぞや怖かったろう?」

 と狼王ウルフィが雪村に尋ねる。議長の任を解かれ、今はフランクな感じだ。


「はあ、正直な話、有無を言わせぬ感じがして、かなり強引だなと。」

 雪村も、有りのままの気持ちを打ち明ける。


「古来、我々犬族が、もっともハダカ猿族にフレンドリーなのだ。猫族は勝手だし、鳥族は自由気まま。爬虫類族に至っては…何と言うか、やはり好戦的に過ぎる。」

「…そうです、よねえ?」

 と思い当たる事が多々有る雪村。


「ワシは前々から、遥か昔に、それまで穏やかに暮らしていたハダカ猿族を改造して、好戦的な性格にしたのは、爬虫類族だと睨んでいるのだよ。」

「ああ、有りそうな話ですね。」


「もちろん、いにしえには、"犬猿の仲"といった時代もあったが、その頃は、キミたちがもっとこう…。」

「…猿みたいだった?」

「そう。そういう事だ。」


「まあ、そういう訳だから、これまでも、これからも、ニンゲンの良き隣人であり友人でもある我々の事を、ドンドン頼ってくれて良いぞ、という話だ。」


「ありがとうございます。」

 二人は、この心細い異世界で、彼のその言葉を、本当に嬉しく思ったのだった。また、やはり、口に出してハッキリ言われると安心する、という実感を得た。


 そして改めて、並行宇宙の壁を超えるチカラの扱いを、慎重にしなければ。と、決意を新たにする二人なのであった。


 それから他愛もない雑談をした後、お茶会も解散となった。二人は狼王に、お茶をご馳走になったお礼を言って、黒いビートルに戻って来た。


「犬族・猫族からの、我々への注目度の高さが、良く分かったね。」

 運転席からサン・ジェルマンが言う。


「ええ、並行宇宙を旅するチカラは、彼等が長い歴史の中で、大切に守って来たモノである事が、実感できました。」

 助手席の雪村もそう言った。そして、こんな風に付け加えた。


「でもボク、思うんですけど。こんなに公明正大にチカラを開けっぴろげにしているの、ひょっとしてボクらだけなのでは?」


「ああ、他に誰も居ないと考えるのは、むしろ傲慢だろうね。だから、他のニンゲンの中に、もしも同じチカラを持つ者を見つけたら…。」


「…どうします?」

「…やっぱり、ココに連れて来るべきかな?」

 少し苦笑しながら、それでも真面目に、伯爵はそう言ったのだった。


 そして彼は、黒いビートルの、センターコンソールのリセットボタンを押して、一路、故郷の名護屋テレビ塔を目指したのである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ