㉛ テレビ塔にて
二人が亜空間レストランに戻ると、そこでは、村田京子と真田雪子が、揃ってお茶を飲んでいた。
珍しい組み合わせである。
「あら、お帰りなさい。お疲れ様ね?」
そう声をかけて来たのは、京子だった。
もしもの時に備えて、カウンターの内側に、今回の呼び出しの件について、簡単に書いた貼り紙を、しておいたからかな。サン・ジェルマンはそう思った。
「いつも言ってるでしょ。困った事が有るなら、相談してねって?」
雪子が言った。
「私たちはもう、運命共同体なんだからね!」
京子が言って笑った。
「ホントにそうなんだから〜。」
奥のテーブルからも声が聞こえて来た。
それは真田由理子だった。
酒井弓子も居た。
そして杉浦鷹志も。
真田香子まで居た。
「なんだ、結局、皆さん来ちゃったんですね?」
サン・ジェルマンがそう言った。
「そりゃあ、あんな気になる貼り紙があったら、そうなるでしょうよ。」
雪子が言った。
「もうちょっとでも遅かったら、リングでミケーネ君に、呼び出しをかけるところだったんだからね!」
と由理子。
「ああ、ソレは不味い手だな。評議会の最中にそんな事されたら、ますます彼の立場が危うくなるよ。」
雪村が気の毒そうにそう言った。
「でも、無事に帰って来てくれて、ホントに嬉しい!」
弓子が言った。
「いつも心配かけてゴメン。」
反省モードの雪村。
「少しは私にも頼ってよね?お兄ちゃん。あんまり心配だったから、有給とって来ちゃったわよ。」
珍しく香子がそう言った。
雪村は更に反省した。
「さあ、反省会はそれぐらいにして、みんなでランチにしませんか?今日は特別に、朝からボクが、スパイシーなカレーを仕込んでるんですよ?」
これまた珍しい事を、鷹志が言った。
「それは何よりの驚きですねえ。是非、美味しくいただかなくては。」
滅多な事ではビックリしないサン・ジェルマンが、本当に驚いているようだった。
「じゃあ、ユリちゃん、盛り付けを手伝ってくれるかな?」
鷹志に言われて、いそいそと進み出る由理子。
そういえば、彼女のメイド服が、本来の役割を果たすシーンも、久しぶりであった。
そんな訳でその後は、チーム・サン・ジェルマンが全員揃っての、昼食会とあいなったのである。
「私は、良いメンバーに恵まれて、幸せ者です。他所の時空のサン・ジェルマンは、サン・ジェルマンとしか、手を組みませんから…。」
食事をしながら、つい伯爵は口を滑らせた。
「…その話、初耳ね。詳しく聞かせていただけるかしら?」
鋭い目をした京子が尋ねた。
伯爵は観念して、例の超時空サン・ジェルマン会議について、皆に話をしたのだった。
こうして、伯爵と雪村の並行宇宙騒動は、幕を閉じた。犬族・猫族からの監視の目は、これからまた強くなるだろうが、このメンバーが協力し合えば、何一つ困ることは無かろう。
サン・ジェルマンは、満足気に皆を見つめて、そう思うのであった。
これが西暦1992年6月2日の火曜日、13時の事である。
これにて第22巻は完結です。
引き続き、第23巻にもご期待下さい(>ω<)




