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「サン・ジェルマン並行宇宙を行く」(セーラー服と雪女 第22巻)  作者: サナダムシオ


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㉙ 二人の約束

「そこでキミたちには、その新しいチカラを、今後どうしていくつもりなのかを、この評議会のメンバーの前で、正式に宣言してもらいたいのだ。」

 議長がそう二人に依頼した。


 議場に居る、300名ほどの犬族・猫族のメンバーは、鎮まりかえって、その時を待ち構えて居る。

 なかなかのプレッシャーだ。


「では、私の方が少しばかり、ヘブライ語を得意としているので、代表で皆様に申し上げましょう。」

 サン・ジェルマンがそう言ってくれたので、雪村は正直、助かったと思った。


 こんな時に備えて、彼もヘブライ語を少しは勉強しておいたが、細かいニュアンスなどは自信が無かった。まさに今、自分の発言一つで、妙な誤解を生んだりしたら、人類の歴史に大打撃を与えそうな場面だったからだ。


「それでは改めて申し上げます。我々はどちらも、手法の違いこそあれ、並行宇宙の壁を超えるチカラを手に入れてしまいました。」

 議場の者は皆、静かに耳を傾けて居る。


「我々は今後このチカラを、時空の調査等の平和利用のためにのみ使う事を、ここに宣言致します。」


 3秒程の静寂の後、場内は割れんばかりの拍手の音に包まれた。どうやら今の宣言は、受け入れて貰えたらしい。


 やがて拍手が鎮まると、議長が言った。

「この場でのキミの発言は、正式なモノとして記録される。ゆめゆめ、ソレをおろそかにする事の無きように。分かっておろうな?」


「もちろんです。議長。」 

「よろしい。ではこの件に関して、何か異議が有る者は挙手を!」

 誰一人異議は無いようだった。


「それではこれにて、本日の評議会を閉会とする。皆、忙しいところ大儀であった。解散!」 

 その議長の一声で、皆一斉にザワザワして席を立って行った。


「サン・ジェルマン殿、雪村殿。」

 狼王ウルフィが声をかけて来た。

「お急ぎでなければ、ワシと少しお茶でもどうかね?」


「どうしますか?」伯爵が雪村の意見を訊く。

「喜んで。」雪村はそう答えた。


 その建物の議場のすぐ上の階に、ちょっとしたカフェスペースが有った。

 二人と一頭は連れ立ってそこへ行き、議場を見下ろす窓際の席に座った。


「ココは一応、貴賓席なのだよ。」

 レモンティーを飲みながら、ウルフィが語り出す。

 二人も同じモノを頼んでいた。


「それはまた、有り難い事ですな。」

 伯爵は慇懃無礼に答える。

「もっとも、議長特権で、自分の好きな客人を連れて来ても良いのだがな。」

 狼王はそう言うと、可愛くウインクした。


挿絵(By みてみん)

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