㉓ 三次元世界の事実
「ところでキミは、この三次元宇宙が、"四次元宇宙の影"に過ぎないという説を知っているかね?」
議長が、昭和のサン・ジェルマンに尋ねる。
「はあ、聞いた事はあります。ただ私にとって、もう一つの気になる説が有ります。」
「…何かね?言ってみたまえ。」
「それは、この世界が、上位の世界から脱落した者たちが送り込まれる、牢獄だといという事です。」
「…うむ。どちらの説も正解だ。ただし、少なくとも我々の一族は、好きこのんでこの世界にやって来た。」
「…それは、一体どいう…?」
「元々、五次元や四次元の世界に不満が有ってな…それでアチラの記憶を持ったまま、この三次元世界にやって来たのだ。他の多くの者たちは、皆、上位世界の罪人ゆえ、記憶を消されて来ているがな。」
「そうなんですね?」
「中でも、最も罪深い者たちは、不老不死の爬虫類の姿になって、何時までも争いや戦争を辞められない、地獄を生きるのだ。」
「…ああ、確かに。」
「逆に、最も改心の見込みが有る者たちは、鳥族となり、他の種族を指導する立場を与えられる。」
「う〜ん、成るほど。」
「そして、ハダカ猿族…つまりニンゲンは、残念ながら、その中間という訳だな。」
「…ああ。」
「だからこの世界で、好んで罪深いニンゲンの姿に成りたがるヤツらは、我々くらいのモノだよ。多くの者は、むしろ、平和主義者の、犬族や猫族の姿に成りたがる。」
「だから、彼等には、並行宇宙を渡り歩く知識が、有るのですね?」
「そうだ。彼等も、好きこのんで、上位の世界から、この三次元世界にやって来た者たちなのだよ。」
「上位の世界の、一体何が不満だったのですか?」
「あちらは、言わば全て精神世界なのだ。そこには、物理的な接触や刺激は一切無い…実につまらん。」
「…そんなモノなんですね?」
「例えばキミなら、そんな環境、耐えられるのか?」
「確かに…ちょっとつまらないかも、ですね。」
「…さて、無駄話はこれくらいにして、本日の議題に入ろうか?今日の話題は"地球温暖化"についてだ。」
何と、ここでもソレを話題にするのか。
余程、事態は切迫した状況だという事なのか?
昭和のサン・ジェルマンは、すっかりあきれたのだった。
しかし彼には、その解決方法について、一つの腹案があった。(こりゃあ、初日から、黙っていられないなあ。)彼はそんな事を思いながら、おもむろに手を挙げたのだった。




