㉒ キミは12番目
「ようこそ。超時空サン・ジェルマン会議へ。」
ヘブライ語で成された、その人物の宣言と同時に、部屋全体の照明がブルー系の明るいモノに切り替わった。
サン・ジェルマンは、その光景に、何故か既視感が有ったが、すぐにそれが"クイズミリオネア"だという事に気がついて、少しばかり笑ってしまった。
だが次の瞬間、会議の面々の顔ぶれを見て、その笑顔が凍りついてしまった。
そして、ゆっくりと納得した。
「…ああ、そういう事か。」
その円卓に座って待ち構えていたのは、11名のサン・ジェルマンだったのだ。皆、思い思いの衣装を着ている。時代が違うというより、時空が違う、といった印象を受けた。
「おめでとう。キミが我が会議に加える、最後のメンバーだ。」
正面の、議長らしきサン・ジェルマンが、そう言った。
「…私が、最後?…。」
「そうだ。我々は、キミを含めて12名。運命の数字だ。」
「運命?…何故?」
「こういう事だ。」
議長はそう言うと、両方の手を、顔の前に出して見せた。どちらの掌にも6本の指がついていた。つまり両手を合わせて12本。雪女族と同じだ。
周りを眺めると、他のサン・ジェルマンも、全てそうだった。小指の外側にもう一本…いや、人差し指の内側なのか?…昭和の彼には、もう、分からなかった。
「申し訳ないのですが…私の指は10本です。それでも、よろしいのですか?」
彼はオズオズと、議長に尋ねた。
「そうだな。だがむしろ、それより重要なのは、キミが"並行宇宙を旅する手段"を手に入れたという事実だ。大方、6本目の指は、幼い頃に先天性の障がいと断じられて、切り取られてしまったのだろう。」
そう言われてみれば、昔から時々、手の指が6本ある夢を、良く見た気がする。案外、議長の言う事は、当たっているのかもしれない。昭和の彼はそう思った。だが…。
「…それに、私はソレを、猫族の船の内部構造をヒントにして、手に入れました。それでも構わないのですか?」
「最終的にはそうであっても、基本理論は、キミ自らが考案した筈だ。それで充分なのだよ。」
「…はあ、そんなモノですか。」
議長の言い分は、厳しく緻密に考えているようで、どこかで抜け道を許している…まるで自分を見ているようだった。
「古代より、12は特別な数字だ。何しろ、我々一族の指の数を元にして、12進法や1ダースも、考案されたのだからな。まだあるぞ。円を一周すれば360°、60秒で1分、60分で1時間、24時間で1日だ。全て12を基準に考案されたモノだ。」
議長は、自らの主張を一気に語った。




