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転生先は大空でした  作者: 高木 藍
第三章 平民の居ない場所と平民しか居ない場所

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再び離宮へ

いいね&評価、ブックマーク有り難うございます!

 今回は家族にちゃんと別れを告げて、離宮へ向かう。準備と云う準備は無いが、お母さんがあれこれ持たせようとして、


 「ここにあるものより、良いものが向こうに有るだろうし…」

 

 と、出しては片付けを繰り返している。


 「お母さん、大丈夫だよ。向こうに残してきたものも沢山あるから」

 「そうねぇ。ご迷惑でないか心配だわ」


 お母さんは、頬に手を当てて困った顔をしている。


 …多大なご迷惑でしょうよ…


 お母さんの言葉に、私は顔を引き攣らせた。


 暫くすると、カイン様がやって来た。


 「では、ティナ殿、参りましょう。ご家族に挨拶は済ませましたか?」

 

 カイン様の言葉に、再び皆私の手を握って別れの挨拶をする。


 「ティナ、無理せず、しっかり頑張るんだぞ」「皆さんへ感謝の気持ちを忘れずにね」「ティナ、頑張ってね!手紙書いてもいいかな?」「俺も手紙書くよ」


 「皆、有り難う。頑張ってくるね。私もお手紙書くよ


 「では、この袋に入って頂きます」

 「え!今回は申請出来たのでは?」


 私が聞くと、カイン様はやれやれと云う様子だ。


 「寝たきりの状態のティナ殿が、何故貴族街に?富豪の子でもございませんのに。考えればティナ殿が魔力持ちで、魔力切れを起こして貴族街へ運ばれたのでは、と、貴族なら勘繰れます。姫様との繋がりを悟られても後々厄介な事になりかねません。ですので、今回も魔術具で」


 …はい、もう分かりました…


 家族は気の毒な子を見る目で見てくる。


 …そんな目で見ないで(泣)


 羞恥で赤くなっている私を、お父さんとカルムが袋に入れる。


 「では、行ってまいります。皆様にはまた時折ご報告に参ります」


 カイン様の声がして、家族がカイン様に挨拶しているのが聞こえる。


 フワリと浮かんで、飛び立った。


 暫くすると、セレスティナ先生の声がした。


 「何も問題は無くて?」

 「はい。ティナ殿も元気でいらっしゃいます」

 「そう。では行きましょう」


 ゲートも問題なく通り抜け、久しぶりの(私の感覚ではそんなでもないが) 離宮にやって来た。


 ベッドに下ろされ、袋から出してくれる。


 「ティナ様、お久しぶりでございます」

 袋から出ると、笑顔のメル様がいた。


 「お久しぶりです。またご厄介になります」

 「あれから3年も経つんですね。ティナ様もすっかりお年頃になられて」

 「?」


 …寝たきりだったのに、育ってるの?


 「ティナ殿。ティナ殿が眠っている間にも、我々が栄養を与え、成長を阻害せぬ様にして参りました。しっかり成長されていらっしゃいますよ」

 カイン様が笑顔で言う。


 …私、成長してるんだ。早く動けるようになって、どれだけ大きくなったか見たい!


 「ティナ様はお着替えなさいます。お父様は出て下さい」

 「おや、これは失礼致しました。ご家族のお手紙等は、私がお届けしますので、お申し付け下さい。それでは」


 カイン様が部屋から出ると、メル様によって、着替えさせてもらう。


 「やっぱり、置いていった服では小さいですね。私のお古で申し訳ないですが、我慢してくださいね」

 「いえいえ、用意してもらって有り難うございます。メル様のお下がり嬉しいです」

 「嬉しい事を言ってくれますね」


 メル様に色々整えて貰った後、枕で支えてもらって半身起き上がった。少し動くようになった手で、ゆっくりお茶を飲んだ。


 コンコンと小さなノックが聞こえた。


 「はい」


 とメル様が返事をすると扉が開いた。中へ入ってきたのは、フラフラと危ない飛び方をしている天使だった。


 …天使?!何だその超可愛いのはっ!


 「おかあたま」

 「あら、ザック。来たのね。ティナ様にご挨拶なさい」


 ザックと呼ばれた天使は、メル様に抱かれると、おずおずと挨拶してくれた。


 「ざっかりあす・うぉるふぉるとです。にさいです」


 ずっきゅんやられた。緑色のフワフワの髪にクリクリお目め。同じく緑の小さな翼。めっちゃ可愛い。


 「ご挨拶有り難う。ティナといいます。宜しくね」


 私がニッコリ笑うと、恥ずかしそうにメル様の胸に顔を埋めた。


 「つい先日2歳になった所なんです」


 メル様がお母さんの顔をしている。


 「私には離宮に居たのはついこの間なんですが、メル様にこんなに可愛いお子さんが居るのをみたら、時間が経っているのを痛感します」

 「そうですねぇ。始めてティナ様にお会いしたのは、婚儀を結んだばかりの頃でしたから」

 「メル様は、高位の貴族でしょう?乳母は居ないのですか?」

 「上位伯爵家なので、乳母を付けるのが普通何でしょうが、この離宮でアルベティウス様のお世話をする以外、余りやることも無いので、付けなかったんです」

 「中々珍しいのでは?」

 「高位の貴族で乳母が居ないなんて、聞いたことないですね」

 うふふふと笑って言う。


 ―メル様は実は相当変わったお人なのではなかろうか。


 「でも、そろそろ家庭教師が必要ですね。お父様が良い人を見つけてくれるそうなので、待っているのです」


 …2歳で家庭教師か。貴族も大変だな。


 ザックくんとも大分仲良くなり、3人でキャッキャしていたら、扉が開いた。


 「ティナ。久しぶり」

 「お久しぶりです。アルベティウス様。またお世話になります」

 「あるべてぃーしゅたま、こんちには」

 「ザック、こんにちは。今日も元気だね」


 アルベティウス様はこちらに寄ってくると、ザックくんの頭を撫でた。


 「では、私は失礼します。ご用意があればお呼び下さい」


 「ザックくん、またね」

 「ティナしゃま、あるべてぃーしゅたま、しちゅれいちましゅ」


 ザックくんは、メル様に抱かれたまま、部屋を去った。


 …めっちゃ賢いやん


 キチンと挨拶する2歳児にビックリだ。


 「さて、ティナ。無理をしたようだね。本当に驚いたよ」

 「…ご心配お掛けしました…」

 「師匠から散々叱られただろうから、僕からは何も言わないよ。それにしても、平民とは本当に白い服しか着ていないんだね」


 ―私のお見舞いに来てくれたんだっけか 


 「私が眠っている間に、お見舞いに来て頂いたようで、有り難うございます」

 「初めて平民街に行ったから、とても楽しかったよ。面白い形をした小さな家が沢山あったよ」


 …フリアの家なんて平民では大きい方だろうけど。王子様には無縁だわね


 「君のお母さんもお姉さんも君に似て美人だったよ」


 …何見てきたんだ。


 「父と兄は居りませんでしたか?」

 「…居たかも知れないけど…男の人って中々記憶に残らないんだよね」


 ―アルベティウス様って意外に女好きなのか?


 「僕が名乗ったら、青くなって彫刻の様に固まった人なら居たかも」


 …お父さんが、第一王子と分かって緊急で固まったのか。お父さん、ごめんなさい…


 「アルベティウス様が平民街へ赴く何て、大騒ぎでは無かったのですか?」

 「僕は継承権を放棄した王子だからね。大した影響はないよ」


 「そんなことは無くてよ」


 セレスティナ先生がやって来た


 腰に手をやって何だか怒っている。


 「共も付けず平民街に行ったと聞いた時は、危うく目を回すところでしたわ。いくら、継承権を放棄したとは言え、貴方は現王の長男ですのよ。危険はございます」

 「師匠…散々言われたので、もう勘弁してください」

 アルベティウス様の眉毛が嫌そうにハの字になっている。


 「全く…私の弟子達はどうしてこうも、とんでもない事ばかりするのかしら」

 セレスティナ先生は、はぁと溜息を吐いた。

 

 「この師匠にして、この弟子あり。と云う事でしょうね」

 「バルド!」


 セレスティナ先生の眉毛が逆のハの字になった。


 「…お茶ををお淹れ致します」


 カイン様は部屋を出た。


 …逃げたな。


 

 何だかんだで、この離宮は暖かい人達ばかりで楽しい。家族とまた会えなくなったのは寂しいが、笑って再会出来るように、リハビリ頑張ろう。


 



 

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