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49話 懐かしい

間をあけてしまってすみません…


「えへへ、まさか昔と同じことをまたするなんてね〜」


「ほんとだよ。何も変わってないんだな、俺達」


「……でも、私はこのままずっと変わらず、月夜と仲良くして居たいな」


 いつもと少し違う、静かな微笑をして弓梨は呟いた。湯気のせいか、それとものぼせているせいか、弓梨の顔が少しぼやける。


「ま、お前がこんなんだから、これからもずっと近くで見てないといけないかもな。何しでかすか分からんし」


 よそ見をしながら流すように云うと、弓梨はパッと太陽のように明るい光を見せつけた。


「やっぱり月夜は優しいね」


「みんなのアイドル弓梨さんに言われるとトテモウレシイナー」


「全然嬉しそうじゃないんだけど……」


「いやいや、嬉しいよ。みんなのアイドル弓梨さんに褒められて俺は今とても幸せで胸がいっぱいです」


「そのみんなのアイドルってなんなの」


「お前の通称」


「なにそれ、嬉しくない」


「いや、嬉しくなるのは俺なんだが」


「え?」


 会話おかしくなってきた。


「マジでやばいからそろそろ体洗うわ」


 心臓の音が危険信号のように鳴り響いていたので、湯から離れることにした。正直冷水を頭からかぶりたい気分だ。


「あ、うん」


「…………」


「…………」


「あのー……」


「? どうかしたの?」


「このまま立ったら色々と見えてしまうんですけど……」


「あっ、そ、そういうことね。ごめんごめん」


 焦慮(しょうりょ)しながら弓梨は慌てて後ろの壁に目を移す。今更焦り出すのもちょっとアレだが。


「よいしょっと」


 弓梨の柔肌に自分の体が当たらないよう気をつけながら風呂から上がる。一瞬頭がボーッとなり、コンマ1秒もしないうちに足を崩しそうになるほどの立ちくらみが襲った。床が滑りやすいということもあり、バランスを無くし転びそうになる。


「おっと……」


 壁にぶつかるようにもたれてなんとか助かった。危なかったなと前を見ると、弓梨がこちらを振り向いていた。


「ちょっと、月夜大丈夫!?」


「あぁ、少し立ちくらみがしただけだ。……ってかこっち見んなって」


「ハッ……つ、つい……」


 よくよく考えたら、こんな状況、100歩譲ってもおかしいのだ。眞城也なんかがこの現場を見たらどんな顔をするだろうか。弓梨のほぼ裸の姿を目撃して鼻血を出すか、俺に殴りかかるかのどちらかだろうが。


「……ごめんね。私が無理言ったせいで……さすがにやり過ぎたと思ってる」


 お、珍しく反省しておる。いつもは相手が俺だからって特に気にしないくせに。


「別に気にすんな。たいしたことないから。お前のせいだけど」


「うっ……本当に悪かったよぉ……」


「冗談だ」


 彼女の泣きそうになった顔を見て、咄嗟にそう言ってしまった。


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