45話 懐かしの
どうでもいいけど最近アニメ見てない
「ん、アレ?」
アレってなんだろ……数秒思考を凝らすが、何のことだかさっぱり分からない。まず、アレとかいう言い方をする意味はあるのだろうか。
「昔良くやったじゃん。忘れちゃったの?」
と、言いながら、弓梨が何かひらひらした物を着ようとしてるシルエットが映る。その風に靡く髪のようなひらひらは、少し前に見たような気がして、脳裏に残っていた。
「昔ってどんくらい前だよ……小学生の頃とか?」
「ちょうどその時かな〜」
「小学生の時に風呂で……? なんかしたっけ。……あ、外で遊んだ後、一緒に風呂入ってたりしたなぁ。あの時は何も考えずに生きていけたから、気楽だったなぁ……」
ネガティブ思考丸出しの記憶を吐くと、弓梨はおかしな笑い声を発し、ドアを破壊する勢いでぶち開けた。
「久しぶりに流しっこしよう!!!!」
「…………は?」
一瞬頭が石のように固化し、口をあんぐりと開いて唖然とする。その数秒後、弓梨が明らかに常識外れなことをしているのを理解し、とりあえず、俺はフリーキックを蹴られる時のサッカー選手のように、イチモツを手で迅速に隠そうとした。
「久しぶりに流しっこをーー」
「聞こえてるよ!! 何人が堂々と入ってる風呂場開けてんの!? それに流しっこってなんだよ!?」
「……月夜、しばらく見ない内に成長してたんだね」
弓梨が顔をポッと赤くし、羞恥に包まれた目で見つめる。
「そっちから入ってきたのにそういう反応すんなよ! なんか俺が悪いみたいになるじゃん!」
「ごめん、全然見たことなかったから、びっくりしちゃった……」
反応があざとくてなんかエロい……
「……んで、その格好はなんなんだ?」
弓梨の卑陋な反応を見ていると、なんだか自分が変な気持ちになってきそうなので颯爽と次の疑問を問いかけた。
「見ての通り、エプロンだよ」
ドア越しに見えたあのひらひらは、弓梨が夕食を作る時に使用していたエプロンだった。今はそれを着る必要は無いのに、何故か着用している。
まあ100歩譲って普通に着ているのなら構わない。エプロン好きの人だっているかもしれないし、尊重しよう。たがしかしーー
「何でエプロンオンリーの着用なんだ?」
なんと弓梨は、生まれたままの姿の上にエプロンを着ているだけだった。これは、俗に言うあんなシチュエーションやこんなシチュエーションの時にやる、『裸エプロン』だ。正直見えそうで見えない箇所が幾つもあるので、目のやり場に困りすぎて直視することが出来ない。
「男の人はこれをしたら喜ぶって眞城也君が」
「またアイツかよ……しばき殺す」
度々俺を困らせるアイツは地獄から来た悪魔かと思ってしまう。もしあれが悪魔でないのなら、アイツは人間以外の何かだ。




