44話 お風呂タイム
(*`ω´)b
脱衣場に入り、洗面所の鏡に映る自分を数秒眺め、はぁ、と深いため息をつく。
ここに来て服を脱ごうとすると、毎回1日の疲れが、蘇るゾンビのように出てくる。
「足が重い……」
まず、誤解した柊を全速力で追いかけた時に足が死んだと悟った。なにせ体育ぐらいでしか運動をしていないから、階段を猛ダッシュしたらそりゃ大きな負担がかかる。今はもはや80代のおじいちゃんの足と同様な程に動きが効かない。鉛が付いてるんじゃないかと確認したくなる。
「ふう、やはり全裸は開放感があるな」
脱いだパンツを野球選手のピッチャーのように洗濯機へ投げ込んだ後、俺は呟いた。
先祖が元々服を着ていなかったからなのか、服装は全裸が一番開放感があり、心地よい。春が始まったばかりで少し寒いが。
そしてタオルを持ち、風呂場へ侵入。お湯の温かさを保つための蓋をどかし、いよいよお風呂タイム。まずは湯加減の確認をしようと手を軽く湯船に入れる。
うん。ちょうどいい。俺好みの温度である。
「よしっ、入りますか」
疲労感に覆われた足の先から、ゆっくりと浸かっていく。ようやく肩の辺りまでお湯が浸かったところで「あ〜……」とつい声が漏れる。
「やっぱり風呂は最高だ……身体に溜まった疲れが全部取れていく……」
人類はどのようにして風呂という物を発明したのだろうか。ともかく、風呂の存在を広めた人に大感謝だ。身体を休める手段として睡眠には劣るとしても、気持ちがいいのは断然風呂だと思う。
「弓梨がいろいろしてくれたお陰で楽だし、この後はゲームにラノベ、アニメ鑑賞と様々なお楽しみが出来る……」
一瞬執筆とかいう言葉が頭によぎったけど、多分俺には関係ないことだよな。もうこの後はしたいことするって決めたからね。
「今は8時半だから……4時に寝るとして、約8時間も時間を費やせる……」
ホント趣味に時間を使えるって最高だな。恐らく社会人になったら、夜遅くまで仕事三昧で趣味が〜とか言ってられなくなるだろう。だからこそ、今を楽しむ。それが俺のモットーだ。
「フッフッフっ……今夜も徹夜だな」
良い意味の徹夜を楽しみにしながら、俺は1人で不気味に自然とにやけていた。
すると、脱衣場の方から、ドアを開ける音が微かに聞こえた。視線を移すと黒い人形の影が映っている。
「月夜〜、湯加減どう?」
「文句無しのバッチリだ」
「それは良かった。着替えここに置いとくね」
「おう」
そんな微笑ましい夫婦のようなやり取りを当たり前のようにする。
弓梨は着替えを置いたようだが、なぜか脱衣場から出ようとはせず、ピタリと足を止めたままだった。
「? どうした弓梨。なんかあるのか?」
「ねえ月夜、久しぶりにアレ、やろうよ」




