42話 やっぱり幼なじみ
(^ω^)
…………話変えよ。
「なあ弓梨、俺なんかデザートが食べたい気分なんだが……」
「なんで遅かったの?」
「……弓梨、一緒にテレビ観るか。面白そうなバラエティ番組がーー」
「なんで遅かったの?」
「…………弓梨、一緒にお風呂ーー」
「……なんで遅かったの」
「弓梨、お前のおっぱいを揉ませてくれないか。前ネットでおっぱい揉むと幸せになれるってーー」
「なんで遅かったの!!!!」
「ひゃいん!」
骨さえも簡単に切れる日本刀のように鋭い声で、間抜けな犬のような鳴き声が腹から出る。それはフリでも演技でも無く、100%怯えから発生した声だった。
「さっきから何回も聞いてるじゃん! なんで帰ってくるの遅かったかって!」
「いや、それはだな……」
「すぐ答えられないのが怪しい!」
弓梨が机をバシンと叩く。机からミシミシっという異様な音が出ていたのは気のせいだろうか。気のせいにしておこう。
「やましいことなんて何もないって! ほら、えーと………………」
こういう時何て言えばいいの!? 買い物? ダメだ、俺帰ってきた時何も持ってねえ! あ、じゃあ新しく出来た友達と遊んだって言えばーー
…………俺友達居ねえわ!! 柊も仕事ってことで一緒になったわけだし……うん! 俺友達居ねえわ!! 妖怪ぼっちだわ!
……いや待てよ。俺にも唯一居るじゃないか。友達と呼べるか分からないが友達の奴がーー!
「ああそうそう! 今日眞城也と遊んだんだよ俺! なんか色んな奴とどっか行くとか言っててさ! 無理やり俺もついていかされたんだよ!」
「嘘」
弓梨が軽く俺のことを睨む。この睨みは少しだけ可愛さがあってまだいい。
「本当だよ。長く遊びすぎてもうこんなに汗かいちゃってさ」
と言いながら、制服の胸ぐらの辺りを持ってパタパタとする。
まあこれさっきの弓梨にビビりすぎて出た冷や汗なんだけどね。
「……そう。本当なんだね。疑っちゃってごめん、月夜」
「お、おう……」
騙してるみたいで心がものすごく痛い……だが、ここで本音を漏らしたら終わりなのだ。俺のスーパードリームだった作家というジョブが、解約されてしまう。そのためなら、俺は緊急回避だってするし、初期防具で大型モンスターに挑める。
「でも、それっぽい態度とる月夜も悪い」
「それは悪かったよ。……にしたってお前、なんで遅かったか、そこまで知りたかったのか? 別にめちゃくちゃ遅かったってわけでもないだろ?」
そう訊ねると、弓梨は不安そうな顔を浮かべた。
「だって、月夜が何も言わずにどっか行くことなんて無いから……どうしたのかなって」
「…………ぷっ」
失礼だと思いつつも、思わず吹き出してしまった。
「……? どうしたの?」
「いや、なんでも。ありがとな弓梨」
俺のことを心配してくれて。
「うん?」
言葉の意味がわからず、疑問形の返事をする弓梨だった。
(´;ω;`)