39話 柊さんは
最近ポイント減り気味で辛い…
「色々ツッコミたい所はあるけど、お兄ちゃんがこんなに何かに頑張ってるの初めて見たし、頑張って欲しいと私は思ってるよ」
「……」
この妹は神か、それとも二次元のキャラか。
こんなに素晴らしい妹が果たしてこの世に居るのだろうか。いや、居ない。兄が夢に向かって頑張っている姿を見て、純粋な気持ちで応援してくれる妹など、俺は画面の向こうでしか見たことが無い!
「うう……お兄ちゃんは幸せだ……こんなに良い妹が居て、俺は幸せ者だ……」
「……なんで泣いてんの?」
「すまん。自分の幸せさを感じていたら、つい……」
「そりゃ良かったね」
呆れたような顔をして、テレビに視線を戻す美月。そして金髪の美女が宣伝をしている缶チューハイのCMが流れ出した時、またもや思い出したかのように「あ」と声を漏らす。
「そーいえば、柊さん。どうだった?」
「どうだったって……」
「可愛かった?」
「そりゃ、もちろん」
俺は即答した。確かに柊は驚くほどに可愛かった。
「どれくらい?」
「お前の次に」
「……それ、喜んでいいの?」
「喜ぶべきだろ。3次元より2次元派な俺があの美少女、柊より可愛いって言ってるんだぞ」
「はいはい、とっても嬉しいです。ありがとうございます」
「絶対嬉しくないだろお前」
「お世辞にもほどってもんがあるでしょ。あんなに可愛い人、探してもなかなか見つからないよ。写真でも充分に分かるもん」
「まあ確かに可愛かったぞ。確かに可愛かったけど……」
「けど?」
「……なかなかにバイオレンスでフレキシブルな奴だった」
「はぁ?」
美月が何言ってんだコイツという目で睨む。
正直アイツは色々と凄かった……急に逃げるし、携帯投げるし、勘違い凄いし、etc……この1日だけでどんな奴かが分かるほどだ。好物がどら焼きってことも分かったぞ。
「とにかく凄かったぞ。見た目を遥かに裏切った」
「それっていい意味で捉えていいの?」
まあ面白いところもあったし……
「半々ってとこだな」
「ますます分かんない」
「そのうち分かるさ」
「じゃあ、柊さんを家に連れてくるってこと!?」
「イラストの話とかしなきゃいけないからな。可能性があるだけだ。あまり期待すんな」
「そっか。柊さんに直接会ってみたいなー……ん、でも家に入れるってことは……」
美月が急に苦い顔を浮かべる。
「どうかしたのか?」
「い、いやなんでもないよ」
「……?」
途端に焦り出した美月を見ていると、弓梨が笑顔でこっちに向かってきた。
「2人とも、楽しそうになんの話してたの?」
「たわいもない話だよ」
とでも言って柊の話をしていたことを隠しておく。弓梨にバレちゃマズイからな。
「そっか。今ご飯出来たから食べよ」
「わーい! 弓梨さんのご飯だぁ!」
美月が一目散に食卓へ向かう。
「お、出来たか」
そろそろ空腹が腹痛に変わるほどだったので、俺は自然と食卓に足を運ばせていた。




