38話 まさかの妹が
テスト前日なのに書きますた
料理を弓梨に任せた俺は、とりあえずソファに座って、テレビを観ている美月の隣に腰をかける。
「……」
……どうやら美月は先ほど弓梨が観ていたミステリー番組の犯人を捜そうとしているようだ。
といっても、もう殺された母親の息子を問い詰めているシーンに入っているので、犯人が誰もクソも無い。犯人は俺の予想通り、息子だったらしい。
俺にかかればこのくらいの推理屁でも無い。……まあこんなことで意地張ってもしょうもないけど。
「お兄ちゃん」
集中を崩してリラックスし始めた美月が口を開く。
「どした?」
「これ見てて思い出したんだけど、お母さんが昨日電話で『締切前にちゃんと書けてるかアイツは』って言ってた」
「…………」
「書けてるの?」
「…………いやぁ、はは……」
冷や汗をだらだらと垂らし視線を逸らす俺の姿で、美月はどういう状況かを察し、呆れてため息をついた。
「しっかりしてよお兄ちゃん。ちゃんと書かないと、星野さんにも迷惑かかっちゃうんだよ?」
「そうだな……」
「それに、きちんと学校生活も両立できないと作家辞めさせるってお母さんも言ってるから、気をつけた方がいいよ」
「おう……」
確かに母さんは作家になる時に言っていた。『高校のテストで順位半分以下だったら即作家人生終了させるぞ☆』と……。
入学した高校は、自分の学力より少し偏差値が低い高校に入学したため、なんとかなりそうだが、だからと言って油断してはならない。
俺の作家人生が終わるということは、俺の生きがいが無くなると言っていいほどにアカンことだ。
何度も挫けそうになったが、諦めずに書き続けて、やっとのことでなれたんだ。そんな簡単に座を降りるわけには行かない。
「ま、お兄ちゃんが作家になるなんて聞いた時はびっくりしたよ。あのお兄ちゃんにそんな凄い才能があったなんてね」
「失礼な。俺の場合は90%の努力だ。ラノベを読みまくってテンプレを学び、そこから文法やらルールやらを覚え、何作も何万文字も書いてここまで来たんだ。俺もやればできるってことが証明されたな」
ちなみに10%の才能に関しては、ズバリコメディのセンスだ。ラブコメと呼ばれるくらいなので、もちろんコメディも必要となってくる。そのコメディを俺は自然と出すことが出来た。この才能は、ラノベをたくさん読むことで、読者目線になれることから得た物だと、俺は思っている。
「そうだけど、アレ絵がちょっとえっちいよ。友達に勧められない」
美月が少し頬を赤らめる。
「あんぐらいのエロはラノベ界ではド定番だ。ってか絶対友達に勧めんな。お前の友達とは住んでる世界が違う」
「でも前読んでみたら、結構面白かったよ。男の人向けって感じがしたけど」
「え、お前読んだのか!?」
あの超リア充キャッキャ組の美月が!?
「だって気になるじゃん。お兄ちゃんの書いたのがどれくらい面白いかとか」
「そ、そうなのか……」
「文も難しくなくて読みやすかったよ」
「お、おう……ありがと」
素直に褒めてもらえるのは嬉しいが、あの美月がラノベを面白いと言っていることに、俺は違和感しか感じられなかった。




