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32話 決定事項

(*´・ч・`*)


「はぁ?」


 予想だにしない罰に、気の抜けた声が自然と出る。


「はぁ? じゃないです! 絶対に泊まります!」


 変な言葉使いでふんぞり返る弓梨。


「昔は普通にやってたけど、今はもう高校生だぞ? 今日成り立てだけどさ」


「高校生になったからってなんでダメなの!」


「考えりゃ分かるだろ……年頃の男女が一つ屋根の下で一夜を過ごすんだ。一般的にそういうのは、恋人同士がやるものであってだな……」


「別に恋人同士じゃなくてもやってる人いっぱいいるもん!」


「そいつら絶対ビッチじゃねえか……じゃなくて、明日から授業始まるし、今日は家で休んだ方がいいだろ」


「やーーだーー!」


 弓梨はかたくなに泊まることを諦めようとせず、おもちゃを買ってもらえない子どものように駄々をひたすらこねる。弓梨がこのようなことをするのは、なかなかに珍しい。いつもは、ちゃんとしたお姉ちゃんみたいなイメージなのだが、今の姿はまるで年下の妹のようだ。


「別にそんな長い間待ってたわけでも無いんだろ?」


「……2時間ここに居たよ」


「……」


 2時間って、学校終わってからずっとじゃねえか……。どんだけ待ってんだよ。歩いてる人から嫌な視線送られるぞ。


「俺の家に入ってれば良かったろ? なんでわざわざ外で……」


「インターホン押したけど誰も出てくれなかったよ……美月ちゃん出かけてるのかな……」


「ならもう諦めて自分の家に居ろよ……隣なんだから帰ってきたら気づけるだろ」


「月夜は分かってない! 私がなんでここまでしてるのか分かる?」


「すまん。分かりそうで分からない」


 と、曖昧に答えて玄関を開ける。誰も入っていいと言っていないのに、弓梨は問答無用で一緒に入ってきた。


「なぜならそれは、月ちゃんことがだーーいすきだからです!」


 弓梨が八つ当たりか、わざと強めに抱きついてくる。


「いでっ」


「てことで私は月ちゃん宅に泊まります! これは決定事項だよ! キャンセルはできません!」


「何がてことでだよ……お前こういう時だけ頑固だよなぁ……」


 いつもは全くこういうことはしないから、より一層頑固に見える。別に俺の家に泊まるって言っても、弓梨が遊べるようなもの何も無いし……。


「そんなに私が泊まるの嫌なの?」


 上目遣いのしゅんとした顔で俺を見つめる弓梨。まるで子猫のようなその姿は、少し幼さと愛らしさを感じさせた。


「いや、別にそういうんじゃねえけど、俺ん家何も無いぞ?」


「月ちゃんがいる!」


「そりゃ俺の住んでる家だからな」


「月ちゃんがいれば私は幸せ!」


「あのなぁ……そういうのは好きな人に言うもんであって……」


「え? 私月ちゃん大好きだよ?」


 何という爆弾発言……。でも多分弓梨の好きは恋愛的な方じゃないのだろう。友達に言う方の好きだ。


「……もういいや。今日だけだぞ。もう泊めないからな」


「うわーーい! 月ちゃんの家に泊まれる!」


 何がそんなに嬉しいんだか。喜んでもらえる分にはこっちも嬉しいからいいけどさ。


「じゃあ、おじゃましまーす!」


「もう入ってるし」


「えへへ」


「……」


 可愛いからって甘やかすのは良くないよな……。これからは気をつけよう。この決心100回くらいしたけど。



 


 

|д゜)

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