27話 どこか残念
「……」
「……」
なんだこの間は……。
「あ?」
返ってきた言葉はその一文字だけだった。
「すすすいません!」
なんか怖いからとりあえず謝っておいた。なにこれ、カツアゲの現場みたいだな。言うまでもなく、星野さんがヤンキーの方だけど。
「……まあ、別にいいけどな」
「え?」
「お前が期限守れくたって別に私は困らん。新刊出すのが遅れたところで、すいませんとでも言っておけばその場はしのげる。だが、売り上げや評判はどうなる? 作者にとって都合が悪いが、私達の文庫は作者ごとに毎巻発売する日にちが決まっている。つまり出すのが遅れたら、読者にバレるわけだ。そんな状況で発売が遅れたらどうなるか。私が読者だったら、、「発売日に本屋行ったのに無かったじゃねえか。ぶち殺すぞ作者」ってなる」
「べ、別にそこまで怒ることは無いんじゃあ……」
「果たしてそう思うか? ネットの感想やらを見てみろ。1つの単語を取り上げて『こいつこの文字なんかおかしくね? 文章ヘタクソ過ぎワロタ』とか騒ぎ立てる奴らだぞ? 発売日が遅れ、イラついてネットに書き込むことからそれが炎上しーー『平坂月夜ってクソじゃね?』と発展することも無くはない。勿論、お前はそうなることも想定内で、余裕ぶっこいてラノベ読んでるんだよな?」
さっきからグサグサと鋭い物が心に刺さって痛い。痛すぎる。
これは星野さんの言う通り過ぎて何も言えない。全面的に俺が悪いのだ。ちなみに、勿論星野さんが言うようなことが想定内で俺はラノベを読んではいない。思いっきり自分の楽園を楽しんでいたのだ。……締切を忘れるくらいに。
いや別に書きたくなかったわけじゃないぞ? ただ……少し休みが欲しかったんだ。ほら、俺って学生だし、やっぱり友達と遊ぶ時間とか必要だと思うんだ。友達いないに等しいけど。
「……軽率に見ていた俺が悪かったです。すいませんでした」
やっぱり謝らなきゃだよな。星野さんにも迷惑かけてるわけだし。これでなんとか許してもらえーー
「許さない」
「え、なんでですか」
「なんでって、お前なぁ……」
星野さんがギリギリと歯を食いしばる。
「1巻から毎回、まいっかい締切ギリギリの奴が今頃すいませんの一言で済むわけ無いだろ! 前巻はたまたまギリギリじゃなかったから今回は大丈夫だろうと思ってたのにこれだ! 早く出してもらわないと困るんだよ! 私が担当した中でここまで酷いのはお前だけだ!」
「あはは……」
「あはは、じゃない! 」
うん。全部俺が悪いよこれは。前に星野さんが言っていたが、大体の作家は遅れても次か次の次にはしっかりと直すらしい。本当かどうかは分からないが。
まあ、俺はまだ未成年で色々忙しいってことでなんとか許してもらっていたが、さすがにこれはヤバイと自分でも思ってる。だから次の巻からはしっかりやろう。この決心3回目だけど。
「本当にお前には呆れる……そんなんなのにしっかり出来てるのが余計腹立つ」
「上出来ですいません」
とりあえずウザい謝罪をしといた。それにしても、さっきから柊の冷たい視線が痛いから、そろそろやめてほしいのだが。
「……なんだよ」
「アンタってほんと残念な人よね。なんでこんなのが凄いんだろ……」
「ごもっともです」
俺の残念さはファンすら呆れるらしい。相当だな。
「で、でも、なんだかんだ言ってアンタの作品は面白いんだから、もっと頑張りなさいよ。みんな待ってるんだから」
少し頬を赤くしながら、目を合わせず柊が言う。
「……おう」
作者にとってその言葉はありがたい。たまに自分でも本当に面白いのかと思ってしまう時があるくらいだからな。
毎回後書きにおパンツ!と書くことにしました。前回は1回だけだったので今回は2回言います。
おパンツ!おパンツ!




