24話 決心
更新しましたよおおお!
こんな重大な仕事を急に頼んで、柊は頷いてくれるだろうか。急に不安になってきてしまった。
「……なぁ、柊」
肩をポンポンと叩くと、柊はハッと我に返り、俺の方を向いた。
「な、なに?」
「俺が書いてる作品はな……」
柊がゴクリと唾を飲み込む。きっと緊張しているのだろう。それを見て何故か俺も少し緊張してしまった。
「お前が1番好きって言ってた『ヒロイン攻略』なんだよ」
「…………」
柊はまるで何も聞こえなかったかのようにポカーンとしている。その間抜けな顔は、柊には悪いが少し面白く感じてしまった。
「お、おい、柊さん?」
「…………」
そのまま数秒固まった後、柊は途端にがっかりしたような顔をした。
「え? なんで急にしょんぼりしてんの? お前の大好きな作品の作者が目の前にいて、しかも隣の席だぞ? 普通喜ぶところじゃね?」
「……だと思ってた」
「なんだって?」
「こんなオタクでコミュ障じゃない人だと思ってた。もっと優しくてかっこよくてーー」
「ちょっと待てええええええええ! なんでまず作者が目の前にいるってことに関して喜ばねえんだよ!? 後オタクでコミュ障ってなんだ! せめてどっちかにしろよ!」
「ぶはっ!」
黙って話を聞いていた星野さんが耐えられずコーヒーを噴き出す。
「ひ、柊。お前最高だな」
「俺からしたら最悪だよ!」
なんで柊にもオタクやら言われなきゃいけないんだよ……。お前だってラノベオタクじゃねえか。
「アンタがあの『ヒロイン攻略』の作者なんだ……。世界って狭いわね」
柊はうんうん。と頷いて淡々と言った。
「……そうだな」
なんでこんな落ち着いてられるんだコイツは……。俺がもしこんなことになったら、飛び上がるくらいに喜ぶのに。……やっぱり俺がこんなんだからがっかりしてたりしてるのか? そうだとしたら大分傷つくし、なんか申し訳なくなってくる。
「……」
星野さんはふーん、と言う感じの顔で俺と柊をじっと見つめていた。
「どうかしたんすか?」
「いや、何も。柊、そういうことだから『ヒロイン攻略』のイラストをお前にやって欲しいんだ。どうだ? やるか?」
「勿論やらせていただきます」
相当自信があったのだろうか、即答だった。彼女に似合わない、紛れもなく真面目で決心をしているような表情である。
「迷いが無い返事だな。覚悟は出来てるのか? これは遊びではなくれっきとした仕事だ。それなりの心構えが必要だぞ」
星野さんは念を押して強く言った。
これは俺も大いに共感できる。イラストレーターというのは正真正銘、絵を描いて収入を得る立派な職業だ。しかもライトノベルのイラストは表紙に大きく写り、買い手が1番最初に目に入る箇所だ。つまり、そのライトノベルの第一印象が、表紙によって決まると言っても過言では無いということだ。だから収入は作家より少ないとはいえ、見合った給料が払われるというわけだ。




