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23話 墓穴は掘らないで

いつも通り週1更新ですー

 もうこいつら自由奔放(じゆうほんぽう)過ぎてついていけねえ……。


「んじゃ星野さん、柊に説明してやってください」


 少し呆れながら言うと、星野さんはさっきのふざけた感じとは違い、仕事の書類やらなにやらを手に読んでいた。


「ん、ああ、そうだな」


 書類を机に置き、柊を見る。


「柊、もうお前らで自己紹介とかしてるのかと思うが、このパッとしない、いかにもコミュ障っぽいのが平坂月夜だ」


「墓穴掘らないでください」


 まぁ、見た目からしてコミュ障っぽいのは認めてるし、実際コミュ障だから言われてもしょうがないが。


「で、お前にはこいつの作品の絵を描いてもらう」


「あ、はい。…………ってえ!?」


 少しの間が空いた後、意味を理解したのか、柊は驚嘆した。


「え?」

 

 今度は星野さんが聞き返す。どうやら『はい。分かりました』という答えを予想していたのだろう。


「アンタ作家なの!?」


「作家やってます」


 キメ顔で言ってやると、柊はまた「は?」と信じられないという顔をした。


「あれ? お前もう言ってるんじゃないのか?」


「いや、あんま状況掴めてなさそうだったし、そんな時に言ったら絶対信じてくれない上に変なやつだと思われそうだったんで、内緒にしてました」


「そういうことか……。そりゃ、驚くよな」


 星野さんは納得して苦笑いを浮かべた。

 まあ、驚いて無理は無いだろう。

 作家という存在は、本来作者が表に出るようなものでは無い。だから作家の顔、時には性別までが想像していたのと違うなんてことはザラにある。


「ま、普通は高校生が作家なんて思わないしな」


()してや高校生が作家など、ほぼの読者は気づかないだろう。

 実際、俺はSNSで今読んでいる本の話をしたり、稀に自分の作品の宣伝をすることがある。そんな適当な呟きやらなにやらをしている時、拍子にぽつりと高校生と断定できるようなことを呟いてしまっていた時期があった。当然、返信欄が『高校生なんですか!?』とか、『俺と同じ高校生で作家とかやべえなw』とかで荒れまくった。この経験を踏まえて、改めて高校生で作家というのは稀少なのだと痛感した。


「じゃあまさか何の作品かも言ってないのか?」


 柊が『え? え?』と頭を抱えて何かを考え込んでいる中、こっそりと星野さんが耳元で囁きかけた。


「勿論言ってないですよ」


「マジか……」


 星野さんも考え始めた。なんでかは大体予想がつく。


「お前、こいつの1番好きなラノベ知ってるか?」


 やっぱりな。


「ここ来る前に学校で聞きましたよ。俺の作品が1番だって」


「……そうか。1つ聞きたいんだが、もしお前の1番好きな作品の作者が目の前に居て、しかも大事な仕事を手伝えるってなったらどうする?」


 まるで夢のような話だった。そんなことがもし現実で起こったら俺はーー


「嬉しすぎて失禁しながら失神します」


「わざわざ汚い表現を使わんでいい。思うことはそれだけか?」


 答えは否だ。大好きな作品の作業に仲間入り出来るなら、先ほど言った通り失禁するほど嬉しいことだろう。だが、それだけだろうか。作品の大事な仕事を手伝える、それはつまり、逆を言えば自分が大好きな作品の面白さや、印象を左右するかもしれないということだ。

 その大事な仕事というのが仮に表紙や途中の挿絵だったら、どうなるか。もしも俺だったら、仕事を下りるだろう。理由は簡単だ。責任感が持てない。ネットなどの評価を気にするような小心者の俺だったら耐えられないと思うのだ。


「責任感が問われますね。イラストが急に変わったらネットでも叩かれると思いますよ」


「だろ? ……柊はそれでもOKしてくれるのか?」


 星野さんの重い質問に、俺は一瞬、戸惑ってしまった。

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