22話 賑やか
長らくお待たせしますた!
来たか。じゃねえよ……。と言いたくなる気持ちを抑え、無言で星野さんの向かいに座る。
「星野さんこんにちは」
「おう」
柊がペコリと頭を下げる。その姿は今まで俺には傲慢な態度しか取っていなかったから、新鮮というか、違和感があった。
柊が隣に座ったのを見て、俺は即座に星野さんを睨みつけた。
「おいおいなに見惚れてんだよ。もう何回も見てるだろ。今頃過ぎるぞ」
「アンタが編集者じゃなかったら構わず殴ってた」
「編集者で良かった〜」
星野さんがわざとらしくホッとする。ウザい。ウザいぞこの人。いくら美人でも許せる範囲と許せない範囲があるぞ。星野さんは超超級に許せない範囲入ってる。
「……なんか怒ってる?」
「逆に怒らないと思ってんのか? あのなぁ、アンタのせいで俺はコイツにストーカー扱いされたんだよ! んで階段から落ちて頭ぶつけて気づいたら何時間も経ってるし! ラノベ読む時間減るじゃん!」
「お、おう」
「それで柊に話してみたら何にも知らねえし! そりゃ見た目通りストーカーだと思われるわ! ああもう絶対クラスに馴染めねえ! 元から馴染める自信ないけど!」
俺が白熱に今までの経路と怒りを述べていると、星野さんがいきなり吹き出した。
「最後のちょっと笑った」
「ああああ!? んだとコラ! アンタ今すぐ世界のコミュ障に謝れ! やっぱりコミュ障は偉大でしたって言い直せ!」
「いやそれは無理があると思うんだが」
「人間不可能は無いんだよ! ほら、柊も黙ってないでなんかいってやーー」
そう言いながら先ほどから黙っていた柊の方を向くと、何故か制服姿の店員が目の前に立っており、柊がこの店のメニュー表をじっくりと読んでいた。
「すみません。このパンケーキセット下さい」
「デザートのケーキは、ショートケーキとチョコケーキ、どちらに致しますか?」
柊は、んーと深刻そうに悩んだ末に、
「あ、じゃあショートケーキで」
ショートケーキを注文した。
「かしこまりました」
「アンタも何か頼む?」
「いや、人が熱血に話してる時に何頼んでんのお前」
「頼むの? 頼まないの?」
店員を待たせてるのが悪いのか、柊は急かした。
「んじゃ俺もパンケーキ。ケーキはチョコで」
「かしこまりました」
そう言って店員はそそくさと厨房へ戻っていった。
「……おい、話聞かないで勝手にメニュー頼もうとすんじゃねえよ」
「お腹空いたの!」
「お前そこら辺の赤ちゃんよりタチ悪いぞ!」




