17話 いい加減
体育祭で更新が遅れました…すいません
「『良かったぁ』じゃない! もし会議中だったらどうするんだ!」
星野さんが電話越しに怒鳴りつける。その声だけで激怒していることがよく分かった。
「すいません……俺が悪かったっす」
そりゃ怒られるよなぁ……でも電話しないとどうにもならなかったし、しょうがないよな。
「私は優しいから特別に許してやる。次やったら締切1ヶ月縮めるからな」
「…………はい」
全然優しくねえええ! 鬼だ!
「んで、用件はなんだ? お前が突然電話なんて珍しいじゃないか。4巻書き終わったのか?」
その言葉で我に返る。
「ハッ、そうだ! 今はそれどころじゃ無いんだよ! アンタ例の新しいイラストレーターにちゃんと話して無いだろ!」
「え?」
「会って早々ストーカー扱いされて学校走り回ってやっと追いついたと思ったら階段から落ちて気絶したんだよ! んで起きたらソイツがいて話をしたらなんか急に泣き出すし意味わかんねえんだよ!」
「……なんか楽しそうだな」
「楽しいわけねえだろおおぉぉぉぉぉ! こっちはめちゃくちゃ困ってんだよ!」
「なんで?」
星野さんがとぼけたように聞く。
「『なんで?』じゃねえよ! アンタがちゃんとアイツに話をしねえからだろうが! 」
「あ、うん」
「返し雑だなおい! 俺だけ1人で盛り上がってるみたいで悲しいんだけど!」
「……すまん。ちょっと『玲紋』の作品読んでて聞いてなかった」
「なんでよりにもよってアイツの作品なんだよ! ってかちゃんと話聞いてくれよもう……」
話し過ぎて疲れた……この人本当にいい加減だな。こんなんで編集者の中でもトップに当たるとか信じらんねえ……
「すまんすまん。新しいイラストレーターの話だろ? ……まぁ、うん。正直言うとちゃんと話してない」
星野さんが少しだけ申し訳なさそうに言った。
「やっぱりな……」
「本当にすまない。多分反省してる」
多分ってなんだよ。絶対反省してねえなこの人。
「……一応聞いておくけど、柊にはなんて話したんだ?」
一瞬、しーんと星野さんの声が止まる。そして数秒経ったあと、星野さんが元気よく言った。
「『ラノベのイラストの仕事あるから頑張れ☆』って言ってきたぞ!」
「…………」
「……あれ、月夜? おーいなんか言ってくれーー」
「んなことだけ伝えて分かるわけねえだろうがぁ! もうアンタ編集者失格だよ! 辞めさせられても文句言えねえぞアンタ!」
「すまん。マジ反省してる」
……ダメだ。もうこの人に何言っても対牛弾琴だ。拉致があかない。
「もういいっす……今暇ですか?」
「暇だけど、お前とデートなんてしたくないぞ」
「んじゃこの前集まった喫茶店で待ってて下さい。とりあえず柊とそこに行きますんで」
星野さんの言葉をガン無視して用件だけ伝える。
「お前なんか私に対して冷たいぞ……喫茶店な、分かった」
そう言って通話中の電話がぶつっと切れる。電話時間という画面には『5分24秒』と白文字で写っていた。
「疲れた……たった5分でここまで疲れることができるとは……」
もしかしたら柊を追いかけて走った時よりも疲れたかもしれない。それに加え、叫んだため、喉が少し痛くなった上、腹が減った。
「もう12時か……そりゃ腹減るよな」
喫茶店で昼食は済まそう。




