「蒼神」再起
結果は、フルボッコだった。
とにかく、一方的なまでの蹂躙だった。
致死の一撃が嵐のように吹き荒れ、クレスは早々に焔を解放する羽目に陥った。というより、そうしなければ今頃死んでいたのは間違いない。
そこまでやって片腕は斬り飛ばされ、全身の骨をバキバキに折られたのだ。
貴族らしい高貴な顔ににこやかな笑みを張り付けたまま会心の魔法剣を撃ってきたシグノイベル、呆れたような苦笑いで豪快に殴り飛ばしてくれたデュラン、そしてその他諸々。
マリスまで生き生きと天原を淘汰してくれた。最初からこうするつもりだったと、その表情が雄弁に告げていた。
この地獄は当分夢に見るだろうと思いながら、クレスは集中治療を受けていた。
そこまで自分が彼らを怒らせていたことがどうにも信じられないが、確かに身に染みた、刻み込まれた。……物理的に。
正直本当に首を刎ねられたり消し飛ばされそうになった攻撃は外されていたので、彼らが本気で自分を殺す気がないことは分かった。
自分も相手が躱すことを前提に殺し筋の攻撃を放ちはしたので、そこはお互い様だろう。
なんとなくだが……自由騎士団のメンバーの誰かが自分と同じようなことをしていたら、クレス自身も襲い掛かる側にいたのではないか。そんな気がした。
横になっていたクレスの上に、影が落ちる。
見上げると、フューゼとエレン、マリスとクレインが立っていた。
フューゼが口を開く。
「我々の総意を伝える。自由騎士団始まって以来、そうそう無かった満場一致の意思だ」
クレスがまだ声も出せない様子なのを確認して続ける。
「――一人で背負うな。いや、背負わせない。そんなものは、強引にでも奪い取ってやる。お前がどれだけ拒もうと、我々はお前を許す。だから……戻ってこい」
「…………ッ」
「そういえば? クレス君はウチの何人に『責任を持つ』なんて言ったのか、まさか忘れたとは言わないだろうね?」
クレスの瞳に残る拒絶の色に、クレインがわざとらしく呟いた。
「まず最初に私だろう? そしてルー嬢にサイファー、それと……」
指折り数えるクレインを見て、クレスが頭を抱えたそうな顔をする。
諦めたような溜息を一つ吐くと、クレスはまた意識を失った。
……その数日後。
自由騎士団に三人の騎士が加わった。
「変騎士」ナベリウス。
「想騎士」ティルナ・アンファング。
そして、二代目となる「蒼騎士」クレス・ガルセイン。
大々的に喧伝されることこそ無かったが、その情報は瞬く間に広まった。
ちなみにこの時、ティルナとリアラに関してはナベが「見ちゃいけません」して食い止めてます。。
自分には散々頼らせておいて逆の立場になった瞬間に雲隠れなんかされたら、そりゃ騎士たちの激怒も必然でした。。
ともあれ、第一部完です。
ここまでお付き合いくださりありがとうございましたm(_ _)m
明日からも宜しくお願いしますね!




