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潜界蛇・瘴穴体
一度陽が沈み、また昇った。
どこか異質な気配の漂う草原で、大蛇の動きに変化が起きた。
更に速度を上げたかと思うと、唐突に地面に頭を突っ込み潜りだす。
クレスが接近しながら放った焔弾も完全には避けきれずに胴の一部が吹き飛ぶが、それでも動きは鈍らない。
その身体が完全に地中に消えるのと、クレスが地面に降り立ったのはほぼ同時だった。ティルナとジェスを乗せたナベリウスも追いつく。
一拍遅れて、辺り一帯に墨色のガスが吹き荒れた。
魔力を奪われる感覚に、クレスは心臓を掴まれたような錯覚に陥る。
次の瞬間、地面を割り砕いて異様なまでに巨大な影が姿を現した。
「――――――、ちょっとコレはいくら何れも……」
呟いたナベリウスの声にすら、動揺が現れていた。
先ほどまで追っていた大蛇は、大きいと言っても体長十メートル程度だった。
それでも十分巨大だと言うのに、今目の前で伸びあがった影の身体はどれ程のものか。
巨大すぎて逆に正確な体長は測りづらいが、下手な山よりは間違いなく大きい。
勢いよく飛び出した巨大蛇が着地すると同時に地割れが走り、大地が震えた。
「――――――ッッッッ!!」
鼓膜どころか全身を打ち砕きかねないレベルの咆撃が、死闘の始まりを告げた。
第一章ボスですから、これくらいはやります。




