結界
一方、大蛇の内側に引きずり込まれたマリスとリアラ。
「――これは、いったい?」
マリスが張った雷障界ごと取り込まれた二人。
結界の周囲には、漆黒と呼ぶには濁った闇が広がっていた。
「たぶん、あの蛇の身体の中には虫食い系の秘宝と同じように異空間でも広がっていたんだろうね。なんか妙な手応えもあるし……結界は解かない方が良いかも」
結界のサイズを縮めて魔力を節約しつつ、マリスはそう分析する。
「その……すいません。私なんかを庇ったばかりに」
「ううん、気にしないで。それよりゴメンね、きちんと護りきれなくて」
「そんな……!」
「それよりも、さ」
更に言葉を続けようとするリアラを遮るマリス。
「問題はどうやってここから出るか、だよね?」
「……順当に考えれば、あの腕が蛇から伸びるタイミングは外と繋がるはずですが……」
「だからって、どこに出入口が開くかは分からないんだよね……。とりあえず一発、様子見程度に撃ってみるかな」
マリスの言葉と同時、結界から拳大の魔力弾が放たれた。
それは空間に急速に蝕まれながら直進し、直に見えなくなった。
「やっぱりそう上手くはいかないか。これは持久戦になりそうだね」
呟いたマリスは、ふと思いついたように問いかける。
「リアラって、何か魔法使える? 例えば今張ってる結界みたいな」
「えっと……とりあえず、やってみます」
「えっ?」
少し驚いたようなマリスの声が聞こえた気がするが、ひとまず意識の外に置く。
思い出すのはクレスが死の森で張った炎の結界。
確か、詠唱は……。
「万象一切紅蓮に還す、天突き地割き君臨するは絶対の境界――『火界呪』!」
「……ッ!?」
マリスが息を呑む。
それ程に、リアラに垣間見えた魔力量は膨大な物だった。
片鱗でこれなのだから、その総量は自分にも匹敵……いや、上回っていてもおかしくない。
ところどころ粗い部分はあるが、マリスの雷障界より一回り大きい炎の結界が編まれていた。魔力も十分に安定している。
「……ふぅ。これなら少しは楽が出来そう、かな。念の為に言っとくけど、無茶はしないでね」
「わ、分かりました」
そう言ってマリスは自分の張っていた結界を解くと、少し肩の力を抜いた。
ちなみにこの空間、並の結界だと数秒で蝕まれて食われます。
マリスは技術、リアラは魔力量で誤魔化してますが。。




