乱入
「どうして、あなたたちがコイツと一緒に……!?」
「それはこっちの台詞だよ。ジェス、だっけ? どうしてキミがクレスを狙ってるの?」
「ジェス君、どうして……!?」
「それは……、ッ!?」
マリスとリアラの問いに答えようとしたジェスは、不意に走った頭痛に一瞬言葉を詰まらせた。
(ん……?)
その時ジェスに見えた小さな揺らぎに、マリスは小さく眉を寄せた。
「それは、コイツが父の仇だからだッ!」
「……否定はできないな」
再び斬りかかり始めたジェスをいなしながら、クレスもポツリと呟く。
「んんん? 待ってくらはいよ~?」
緊張感に欠けた声で割って入ったのはナベリウス。
誰も待ちはしないが、一応耳だけは傾ける。
「クレっさんがジェスんのおとーさんの仇らって証拠はあるんれすか~?」
事実、この世界では多くの国で仇討が認められている。だが、仇討だと証明するには決して甘くはない幾つかの条件を満たす必要があるのだ。
その点でジェスの仇討は正式なものではないと、ナベリウスの嗅覚が告げていた。……いたのだが。
「「関係ない」」
当事者二人に同時に言い切られてしまった。
ハモったことに顔を顰めつつ、ジェスは更に続ける。
「それに、ぼくは聞いたんだ! 生き残った父の同僚に、領主を護衛していた騎士を全滅させた雷髪の悪魔のことを!」
「そぅれすか~。……それでクレっさん、彼をどうするつもりれすか?」
「(……少しばかり嘘を吐くが、前に俺が言ったことはバラすなよ)」
音魔法でジェスだけに声を届ける。それを視認できるマリスは怪訝そうな顔をするが、内容までは伝わらないだろう。
「ま、適当にやるさ。死ぬつもりもないしな」
それを聞いて、マリスとティルナの表情が一気に険しくなった。
「どうして……」
「死ぬ気でいるの……!?」
嘘が一瞬でバレた。
最近はそんなことも無いので油断していたが、マリスの「眼光」に虚言は通じない。
そして、何故かティルナもクレスの嘘には敏感だった。
……ちなみに、この場にはいないがクレインやエレンも。
動揺からクレスの動きが鈍り、躱しきれなかった剣を受け止めるクレス。
……その一瞬の拮抗を合図に、事態が動いた。
クレスとジェスを囲み、突如として墨色の鎖が出現する。
まあ墨色と言えば、アレですね。。




