一蹴
「お前ら、何をしてるんだ!」
「誰かは知らねぇが、お前に用は無ぇんだよ! とっとと失せな!」
ギムと同じくらいの身長の小柄な青髪の少年は、怒鳴り声にも一歩も引かない。
「力に任せた理不尽なんて、絶対に認めるもんか!」
(…………)
気丈に叫ぶ少年だが、リアラが視るとその感情には多大な緊張と僅かな怯えが見て取れた。
大体が怒りに染まっているギムとは対照的である。
「(あの子に任せたいとこだけど、そうもいかないよね)」
「(ちょっと力不足れすね~)」
ナベリウスと小声で囁き合うマリス。
「ありがとう。でも、私たちなら大丈夫だから」
リアラが少年を下がらせる。
「え……?」
振り向いた少年はリアラを見て惚けたようになり、特に逆らうこともなく下がった。
入れ替わりにマリスが進み出る。
「『気封鎖』っと」
「ぬぉ、く、この程度――」
「『気弾』」
「はぐぁ!」
鎖を引きちぎろうとしたギムを適当に黙らせ、マリスはそこらにいるギムの同類と思しきゴロツキたちをひとまとめにしていく。
やがて集め終わったギム一派と付近のゴロツキを風魔法で軽く打ち上げ、マリスはその下で弓を構える。
「飛んでけっ☆ 『特攻弾』!」
「「「ぬわあああああああぁあああぁあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………!!!」」」
こうして、ゴロツキたちは星になった。
「ふぅ……。キミも格好良かったよ。でも、あまり無茶はしないようにね?」
「は、はい」
「じゃあね~」
立ち去ろうとするマリスたちに、ハッとした少年が呼びかける。
「あの、ぼくはジェス・シグラートと言います! お姉さんの名前を教えてもらっても良いですか!」
「え、私? ……リアラです。縁があればまた」
少し迷ったリアラだが、悪意の類は視えなかったので答えることにした。
少年――ジェスに別れを告げ、今度こそ路地裏を立ち去る。
「……はい。――ッ、本当ですか!? 分かりました、すぐ行きます!」
その少し後、ジェスが血相を変えて走り去ったことには気付けるはずもなかった。
飛んでけっ☆




