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「草薙」
「くッ――」
迫りくる魔力矢の後ろで、ふらつき膝をつくマリスの姿が見えた。
(ここまで、されたら……)
応えないと。
状況や理屈より先に、その思いが生まれた。
今のクレスはまともに焔の制御ができる状況にない。
一度解放すれば、この焔は寸分の手加減もなく荒れ狂うだろう。
だが――
(覚悟を、決める……!)
引き伸ばされた時間の中。
遂に放たれた焔が、マリスの矢と激突した。
矢に込められた魔力が爆発し、クレスの焔と正面から拮抗する。
衝撃波が大気を振るわし、大地が揺れた。
「もう一押し――!」
剣を引っ提げ駆け出そうとするエレンに、クレインが呼びかける。
「エレン! 反対側に回り込んで、焔をクレス君から引き剥がしてくれ!」
「任せろ!」
普通なら無茶でしかない要求に即答するエレン。
その姿が掻き消えたと思うと、エレンは既に焔の反対側に回り込んでいた。
「全てを呑み込む蛇神の記憶を、禍つ神火を討ち祓う帝剣の伝説を……我が名において此処に降ろす! 『草薙』ッ!」
魔力では測りきれない莫大な力。
神気とでも呼ぶべきそれが剣を芯に一回り大きい刀身となる。
エレンは一振りで軽々と焔をクレスから斬り離し、続いて神気を全て変換した斬撃を飛ばし、マリスの天原淘汰に匹敵する爆発を引き起こす。
今回はエレンの必殺技でした。。




