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レガリア英雄記  作者: 27サグマル
邂逅~「蒼神」再起~
21/213

グラの丘の惨劇

 それから更に一時間が過ぎた。

「おい、そろそろ出発しねぇと本格的にやべぇぞ!」

「余計なことして遊んでるかられすよ~」

「お前が言うなーっ!」

 町を出て、盗賊団のアジトであるグラの丘まで全力疾走する二つの影。

 誰であるかは言うまでも無い。


「『空連砲ゲイルガトリング』!」

「行っくぜ――ぃ!」

 北の洞穴の、更に横穴にあった小さな通路をクレスが蜂の巣にし、その後ナベリウスが闇の大剣で切り崩す。

「何だ、敵襲か!?」

「というかこれはもう無理だろ!?」

「脱出! 脱出だぁあああ!!」

 壊乱状態の盗賊が出てきた所で、クレスたちは追撃をかける。

『疑似・流星群』レプリカ・メテオスウォーム!」

「へっ!?」


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド………………!!


 衛星の数十倍は威力のある魔力の塊が降り注ぐ。高速で連続して着弾するため、残響さえも次の着弾音に掻き消される。


「「「ぎゃぁぁぁぁああああああああああああああああああ!!」」」


 盗賊たちの悲鳴が夕空に響いた。

「ちょ、大規模すぎじゃありまへんか?」

「ハハッ、なんか気分がぶっ飛んで魔力が溢れて来るんだ! さっきの劇薬二本分の恩恵かもな! まァ皆気絶してるだけだから心配すんな! ハハハッ!」

 丘を崩壊させながら言われても説得力の欠片もないが、確かに人体木っ端微塵の悪夢が展開される様子はない。


 時折こちらに逸れてくる魔力弾を避けながら引きつり気味の声で話しかけるナベリウスと、高笑いと共に返すクレス。

 死屍累々と転がる盗賊たちも、次々とその数を増やしていく。

 その上にも見境無く魔力弾は叩き落とされるので、運の悪い数名は塵芥のように連続してその身を舞わせることになる。


 タアァン!


 不意にクレスの身体が仰け反り、遅れて乾いた銃声が響いた。

「わわわわわ!」

 クレスが避けた(、、、)弾丸が自分に直撃しそうになり、持ち替えていた長剣で慌てて弾くナベリウス。

 ふらりと立ち上がり手を伸ばしたクレスに、一瞬ガッツポーズをしていた狙撃手の目が点になる。

「へ? ……嘘?」

 見上げた頭上には、一直線に向かってくる一際巨大な魔力弾。

 狙撃手は覚悟を決めたように大きく息を吸い込んだ。

「今だ! 囲めぇぇえええええ!!」

 執行者クレスが手を振り下ろし、叫んだ漢に容赦なく魔力弾が落下。断末魔となった決死の号令に呼応するように、周囲に転がって脱落者に紛れていた盗賊の一部が銃を携えて立ち上がり、一斉に構える。

 流星群を維持しながら調子に乗って歩き回っていたせいで、クレスたちの現在地は敵のど真ん中である。三百六十度の全方位を銃口に囲まれ、しかしクレスに動揺はない。


 銃火器は現在大きく二つの種類に分けられる。遺跡等から見つかる古代の遺物としてのものと、それらを研究して近年製造されたものだ。前者はふとしたきっかけでまとめて手に入ることもあるが、大半は碌に動かず性能も劣る。


「おいおい、音速にも届かねぇ骨董品ガラクタ狙撃銃ライフルかよ? んなもんいくつあっても――そう、無駄無駄無駄ァ! ってな!!」

 ゴォッ!!!

「「「嘘ぉ!?」」」

 クレスが怒鳴ると同時に魔力が吹き荒れ弾丸を吹き散らす。

 ――風魔法ではなく魔力。

 音速未満とはいえ仮にも銃弾を吹き飛ばす程の量の魔力にナベリウスが洩らした驚愕は、射手たちのそれと綺麗に重なった。すっかり怯えきった盗賊たちに構わずクレスは止めを刺しにかかる。

『昇ッ天』(逝っとけやぁ)ッ!!」

「ちょ、待――」


 ゴオオオオッ!


「「「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」」」


 勢い任せの呪文に反応して、地表に満ちていたクレスの魔力が起動。避けようのない強烈な振動波に襲われ、残る盗賊も全滅する。ついでにナベリウスも死亡。


 戦闘に比べて、事後処理は地味だった。

 土魔法だと強度が足りないのでその上位である地魔法で鎖を生み出し、転がる盗賊をまとめて縛り上げる。

 同じく地魔法で作った即席の檻に放り込み、プレールの町外れで監獄の責任者に引き渡して報酬を受け取る。

 公式依頼が出る程だから、討伐の実態はともかくとして金額はそれなりだった。

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