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レガリア英雄記  作者: 27サグマル
邂逅~「蒼神」再起~
12/213

ルナリアの落日

過去話になります。

 代わり映えしない単調な山道を進みながら、リアラの意識は過去へ向かっていた。その運命を大きく変えた、八日前へと。

突然の宣戦布告。迫る軍勢、狂騒に包まれる宮廷。市街を蹂躙する妖魔。――そして、数十の追手の前に立ち塞がる一つの影。


 ――始まりは、些細なことだった。国境付近の森に妖魔が棲み着き、近隣の住民に被害が出ているというものだ。


妖魔とは、ここ数年で観測され始めた特殊な魔物の総称だ。高い知性を持ちながら、明確な意思を持って人間と敵対する。

その外見や性質は人間に似たものもいれば魔物そっくりの個体も存在して多岐に渡るが、赤い眼と頭部の角は全ての妖魔に共通の特徴である。姿を変える個体でさえ、変化後もこの特徴を留めることが確認されている。

人語を操る個体もおり、その一部は人間との共存を持ちかけたこともあった。結局それは罠で、戦争にも匹敵する膨大な被害を生むことになったが。


 そのような経緯から妖魔は人間の敵というのが一般解釈となっており、討伐の対象となっていた。

 普段なら皇室からの委託という形を取って傭兵団に依頼するのだが、その時は様々な事情が絡み、御用達の傭兵団は五つとも都合がつかなかった。

 そうする内にも被害は拡大の一途を辿った。町単位の武力では、妖魔の襲撃からの自衛にも限度がある。今回の妖魔はなかなか手強いようだ。


 だが、かつて複数の都市を壊滅させ、ベルクリッズを筆頭とした連合軍に討伐されたSS級の妖魔群に比べればルナリア一国でも十分対処できるレベル。ルナリア皇家は騎士団の半数を妖魔の討伐に派遣することを決定した。


 それから十数日が過ぎたある日、ハザルクスに信じられない凶報が届いた。妖魔の討伐に発った騎士団は逆に奇襲を受け壊滅したという。


 それどころか追い討ちを掛けるようにAAA‐S級の妖魔の群れが多数発生してルナリアの主要都市を襲撃、ルナリアは一気にパニックに陥った。


 妖魔を含む魔物にもランクづけはされており、それは同ランクの傭兵が一対一で倒せる実力を基準にされている。SランクとはつまりAAAの傭兵、騎士でも歯が立たないということである。おまけにそれは一対一の場合。敵が複数なら実害は跳ね上がる。通常は同数以上の騎士団で以って討伐する相手だ。


 何故か周辺国からの救援もなく、国の主要人物も多くが死亡、或いは亡命した。

 リアラはそんな中で父皇によって近衛騎士筆頭のデニス・バーズに預けられ、国外へ脱出することになった。

 既にルナリアは首都すらも妖魔の跋扈する魔境となっていた。


 デニスはレガリアでも指折りの実力者で、妖魔たちを何とか振り切り、時には薙刀の一撃で撃破して国境を目指した。デニスの駆る馬の後ろに乗っていたリアラは、道端で見るも無残な姿を晒す骸やおぞましい妖魔を眼にすることになる。


 国境まであと僅かというところで、デニスたちは妖魔に取り囲まれる。

 深手を負いながらも突破したデニスはリアラを馬に乗せて逃がし、自身はちょうど架かっていた橋で妖魔たちを迎え撃った。


 やがて限界を超えて走り続けた馬が力尽き、息絶えた。最後の時にリアラがデニスに託された袋には、数万Rと短剣、数枚の呪符、そして血文字で書かれた手紙が入っていた。


 びっしりと文字が書き込まれた手紙は、謝罪の言葉から始まっていた。

『最後までお供できず、申し訳ありません。すぐに追いつきます。それまでは次の指示に従って行動してください。まず、脱出した経路からまっすぐ東へ向かうと小国フォルトナに着きます。そうしたら、最初に着いた村で身なりを整えた後、最寄の町で傭兵を雇い、自由騎士団を頼るのです。くれぐれもお気をつ』

 文章は途中で途切れていた。


 リアラはその指示通りに行動し、結果クレスたちと出会うことになる。

 やがて国土は破壊しつくされ、領内に残った民はほぼ死に絶え、ルナリアは事実上の壊滅状態となる。

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