第八十八話 竜の郷へ
研究院を出た後、恒一達は竜のしっぽ亭へ戻っていた。
ガロン
「は?」
恒一
「だから竜の郷に行くらしい」
ガロン
「いや意味が分からん」
恒一
「俺もだ」
レヴ
『ガロン肉焼いて』
ガロン
「お前は黙ってろ」
レヴ
『理不尽だ』
ガロンは頭を抱えた。
ガロン
「竜の郷ってあれだろ?」
「人間立入禁止の場所だろ?」
レオン
「ああ」
ガロン
「行けるのか?」
ゼノス
「行ける!!」
グランヴァルド
『問題ない』
ガロン
「問題しか見えねぇんだが?」
その時だった。
バァン!!
勢いよく扉が開く。
ミリア
「話は聞いたわよ!!」
恒一
「うわ出た!!」
ミリア
「誰が出たよ!!」
フェルド
『元気そうだな』
レヴ
『肉食うか?』
フェルド
『いただこう』
恒一
「お前らは自由だな」
ミリアは目を輝かせる。
ミリア
「竜の郷ですって!?」
恒一
「らしいな」
ミリア
「行くわ!!」
恒一
「お出口はあちらです。お嬢さま」
ミリア
「何でよ!?」
恒一
「観光じゃねぇんだぞ!?」
ミリア
「だから面白そうじゃない!!」
レオン
「却下だ」
ミリア
「レオンまで!?」
フェルド
『残念だったな』
ミリア
「フェルドまで裏切るの!?」
フェルド
『当然だ』
その時。
入口から聞き慣れた声が響いた。
バルド
「話は聞かせてもらいました!!!」
恒一
「何でいるんだよ!?」
バルド
「商人ですので」
恒一
「答えになってねぇ」
バルドは当然のように言った。
バルド
「旅費は出しましょう」
全員
「「「は?」」」
ガロン
「何でだ!?」
バルド
「投資です」
恒一
「またそれか」
バルド
「竜の郷との交易が可能なら利益は莫大です」
ガロン
「根っからの商人だなぁ……」
ミリア
「パパ最高!」
バルド
「ミリアちゃんの行動力、決断力も最高ですよ!!」
恒一
「親子揃って怖ぇよ」
レオン
「だが資金面の問題は解決したな」
エリシア
「そうね」
恒一
「行く前提になってるな?」
グランヴァルド
『行かないのか?』
ゼノス
「恒一、行こうぜ!!」
グランヴァルド
『封印を解きたいのだろう?』
レヴを見る。
レヴ
『肉』
恒一
「お前は本当にそればっかだな」
グランヴァルド
『飛びたいのだろう?』
レヴ
『……』
珍しく。
レヴは少しだけ黙った。
レヴ
『D級には行きたい』
恒一
「!!」
レオン
「ほう」
エリシア
「珍しいわね」
レヴ
『恒一と走る』
静寂。
恒一
「レヴ……」
レヴ
『だから飛ぶ』
恒一
「お前……」
少しだけ感動しかけた。
だが。
レヴは続ける。
レヴ
『飛べば肉も増える』
恒一
「結局肉かよ!!台無しだぁぁぁぁぁ!!」
全員が笑った。
こうして。
目的地は決まった。
人間が立ち入ることを許されない場所。
竜達の聖域。
竜の郷。
その地に恒一達は向かうことになる。
出発は三日後。
まだ誰も知らないその旅が王国の歴史を大きく動かすことになる事を。
そして竜の郷で待つ真実が。
恒一とレヴナントの運命を変えることを。
――第八十八話 終――




