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第八十二話 決着 王都E級王者

実況

「ゴォォォォォォル!!」


大歓声。


地鳴りのような歓声が競走場を揺らす。


三頭はほぼ同時にゴールラインを駆け抜けた。


ボルグ・アイアンシェル。


ゼノス・グランヴァルド。


恒一・レヴナント。


実況

「わ、分からない!これは分からない!!」

「写真判定です!!」


観客席がどよめく。


恒一


「はぁ……」


レヴ

『……』


全力だった。


もう一歩も動きたくない。


それほど走った。


恒一

「どうだ?」


レヴ

『分からん』


恒一

「だよなぁ」


レヴ

『だが...』


恒一

「ん?」


レヴ

『楽しかった!』


恒一

「……ああ」


二人は笑った。


少し離れた場所でミリアは肩で息をしていた。


ミリア

「負けたぁ……」


フェルド

『惜しかったな』


ミリア

「最後意味分からないくらい速かったんだけど?」


フェルド

『あれは化け物だ』


ゼノスは大笑いしていた。


ゼノス

「はははははは!!」


グランヴァルド

『うるさい』


ゼノス

「最高だ!!」


グランヴァルド

『そうだな』


ゼノス

「負けても悔しくないぞ!!」


グランヴァルド

『それは嘘だ』


ゼノス

「少し悔しい!!」


ボルグ。


アイアンシェル。


二人は静かだった。


ボルグ

「どうだ?」


アイアンシェル

『分からん』


ボルグ

「ああ」


アイアンシェル

『だが!』


ボルグ

「?」


アイアンシェル

『良いレースだった』


ボルグは僅かに頷いた。


数分後。


巨大な魔導スクリーンが点灯する。


会場が静まる。


実況

「皆様!結果が出ました!!」


緊張が走る。


数万人が見上げる。


実況

「王都E級ランキング戦!!」

「優勝は――――」


静寂。


実況

「恒一・レヴナントォォォォォォオ!!!!」


会場爆発。


歓声。


歓声。


歓声。


恒一

「……え?」


レヴ

『勝った』


恒一

「……」


レヴ

『勝ったぞ!』


恒一

「……」


レヴ

『恒一?』


恒一

「勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


レヴ

『勝ったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』


観客席がさらに沸く。


実況

「ランキング八位からの大逆転!!」


実況

「王都E級ランキング戦制覇です!!」


◇◇◇


表彰台。


一位。


恒一・レヴナント。


二位。


ボルグ・アイアンシェル。


三位。


ゼノス・グランヴァルド。


四位。


ミリア・フェルド。


観客席から拍手が降り注ぐ。


◇◇◇


競走協会会長が前へ出る。


会長

「素晴らしい見事な走りだった」


恒一

「ありがとうございます」


会長

「優勝賞金として大金貨五枚」


恒一

「……はい?」


会長

「さらにランキング一位認定」


恒一

「はい?」


会長

「及びD級昇格資格取得」


恒一

「はい??」


会長

「本当におめでとう!」


恒一

「待ってください情報量が多いです」


会場大爆笑。


レオン達も観客席にいた。


エリシア

「勝ったわね」


レオン

「ああ」


エリシア

「嬉しそう」


レオン

「別に」


エリシア

「嬉しそう」


レオン

「うるさい」


だが、ほんの少しだけ。


レオンは笑っていた。


表彰式終了後。


恒一は空を見上げた。


異世界へ来た日。


金も仕事も住む場所も無かった。


ハズレ竜と言われたレヴとの出会い。


ガロンに拾われ居場所ができた。


色々な事があった。


恒一

「なぁ」


レヴ

『なんだ』


恒一

「勝ったな」


レヴ

『ああ』


恒一

「王都一位だぞ」


レヴ

『当然だ』


恒一

「生意気だな」


レヴ

『事実だ』


恒一は笑う。


レヴも笑う。


そして。


実況

「新王者誕生ぉぉぉぉぉ!!!!」


王都中に歓声が響いた。


ハズレ竜と呼ばれた一頭と。


異世界から来た男。


その物語は。


今、新たな舞台へ進もうとしていた。


――第八十二話 終――

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