第八十一話 共鳴の力
残り五百メートル。
競走場最終直線。
歓声が揺れる。
地面が震える。
実況
「最後の直線です!!」
「王都E級ランキング戦!優勝争いは四組!!」
実況
「ボルグ・アイアンシェル!!」
「ゼノス・グランヴァルド!!」
「ミリア・フェルド!!」
実況
「そして恒一・レヴナントだぁぁ!!」
観客席が爆発する。
差はほとんど無い。
実況
「誰が勝ってもおかしくない!!」
ボルグ
「行くぞ」
アイアンシェル
『ああ』
ドォン!!
再加速。
実況
「速い!!」
「ボルグ・アイアンシェル組!!」
「まだ余力がある!!」
観客
「うおおおおお!!」
観客
「強ぇ!!」
さすが一位。
誰もがそう思った。
ゼノス
「面白い!!」
グランヴァルド
『黙れ』
ドォォン!!
ゼノスも加速。
実況
「離れない!!」
「ゼノス・グランヴァルド組離れない!!」
実況
「同率一位対決だぁぁぁ!!」
ミリア
「フェルド!」
フェルド
『分かっている』
ミリア
「最後よ!」
フェルド
『ああ!』
三位。
だがまだ届く。
誰も諦めていない。
そして。
四位。
恒一とレヴ。
実況
「恒一・レヴナント組苦しい!!」
「先頭との差は約二竜身!!」
「ここから届くのか!?」
恒一・レヴ
(レヴ)『ああ』
恒一・レヴ
(悔しいな)『悔しい』
恒一・レヴ
(ここまで来たのに)『ここまで来た』
恒一・レヴ
(負けたくね)『負けたくない』
その瞬間。
共鳴が深まった。
聞こえる。
言葉じゃない。
思考でもない。
感情だった。
悔しい。
勝ちたい。
もっと速く。
もっと前へ。
同じだった。
全く同じだった。
実況
「おっと!?」
「なんだ!?」
観客席がざわつく。
恒一とレヴの身体が淡く光り始めた。
ミリア
「え……?」
フェルド
『まさか』
ボルグも振り返る。
ゼノスも気付く。
実況
「恒一とレヴナントの身体が光っている!!」
「何が起きている!!」
恒一・レヴ
(行ける)『行ける』
恒一・レヴ
(勝てる)『勝てる』
恒一・レヴ
《《勝つぞ!》》
恒一とレヴの意識の境界が無くなった。
その瞬間。
ドォォォォォォォォォン!!!!
観客
「うおおおおおおおお!?」
実況
「速いぃぃぃぃぃぃ!!」
「なんだその加速はぁぁぁ!?」
一気に。
ミリアとフェルドを抜く。
ミリア
「速っ!?」
フェルド
『化け物か!?』
実況
「三位浮上!!」
「恒一レヴナント組三位浮上!!」
さらにゼノスへ迫る。
ゼノス
「ははははは!!」
グランヴァルド
『笑うな』
ゼノス
「最高だ!!」
実況
「並ぶ!並ぶ!!並んだぁぁぁ!!!」
残り二百メートル。
ボルグ・アイアンシェル。
恒一・レヴナント。
ゼノス・グランヴァルド。
三頭が横一線に並んだ。
観客総立ち。
実況
「分からない!!」
「誰が勝つんだ!!」
ボルグ
「アイアンシェル」
アイアンシェル
『ああ』
ゼノス
「グランヴァルド!」
グランヴァルド
『当然だ』
恒一・レヴ
《《勝つ》》
残り百メートル。
三頭横一線。
誰も譲らない。
誰も止まらない。
そしてゴールが迫る。
実況
「勝つのは誰だぁぁぁぁぁ!!」
観客席の絶叫が響く。
実況
「残り五十メートル!!!」
そして――
三頭は同時にゴールへ飛び込んだ。
――第八十一話 終――




