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第八十話 残りの千メートル

残り千メートル。


実況

「最終区間です!!」

「ここからは競走場へ続く下り坂!!」

「そして最後は五百メートルの直線勝負です!!」


歓声。


歓声。


歓声。


王都中の視線が集まる。


現在順位。


一位 ボルグ・アイアンシェル


二位 ゼノス・グランヴァルド


三位 ミリア・フェルド


四位 恒一・レヴナント


先頭との差。


約三十メートル。


恒一・レヴ

(遠いな)『ああ、遠い』


恒一・レヴ

(でも見える)『見えるな』


共鳴。


互いの考えが自然に重なる。


先頭。


ボルグ。


アイアンシェル。


ボルグ

「行くぞ」


アイアンシェル

『ああ』


加速。


さらに加速。


実況

「ボルグ・アイアンシェル組先頭!!」

「逃げる!!逃げ切るつもりだぁぁぁ!!」


その直後、ゼノスが笑った。


ゼノス

「それで終わると思うか!!」


グランヴァルド

『やかましい』


ドォォン!!


実況

「ゼノス・グランヴァルド組!!食らいつく!!」

「離れない!!」


三位争い。


ミリア。


恒一。


フェルド。


レヴ。


四頭が並ぶ。


ミリア

「ここで来ると思ったわ」


恒一

「待たせたみたいだな」


ミリア

「負けないわよ」


恒一

「俺もだ」


フェルド

『かかって来い』


レヴ

『行くぞ』


ドォン!!


同時加速。


実況

「三位争い激化ぁぁぁ!!」

「ミリア・フェルド組か!!」

「恒一・レヴナント組か!!」

「どちらも譲らない!!!!」


残り八百メートル。


レヴの息が荒くなる。


恒一・レヴ

(大丈夫?)『問題ない』


恒一・レヴ

(嘘だな)『少し疲れた』


恒一・レヴ

(正直だな)『だが走れる』


恒一・レヴ

(そうだな)『ああ』


その瞬間、恒一は気付く。


共鳴によってレヴの状態が手に取るように分かる。


疲労。


呼吸。


筋肉。


全て。


そしてレヴも気付いていた。


恒一の状態に。


レヴ・恒一

『恒一』(なんだ?)


レヴ・恒一

『お前も疲れている』(バレてるか)


レヴ・恒一

『当然だ』(まぁな)


レヴ・恒一

『だが』(ああ!)


二人の思考が重なる。


勝ちたい。


その気持ちだけが一致する。


残り六百メートル。


実況

「ボルグ・アイアンシェル先頭!!」

「ゼノス・グランヴァルド二番手!!」

「ミリア・フェルド三番手!!」

「恒一・レヴナント四番手!!」

「順位変わらず!!」


その時、前方のミリアが動く。


ミリア

「フェルド!!」


フェルド

『ああ!!』


ドォォン!!


実況

「出たぁぁぁぁ!!」

「ミリア・フェルド組仕掛けた!!」

「二位争いへ突っ込む!!」


歓声。


ボルグ・アイアンシェル。


ゼノス・グランヴァルド。


ミリア・フェルド


三頭が先頭集団になる。


恒一・レヴ

(置いてかれてるぞ)『嫌だな』


恒一・レヴ

(俺もだ)『追うぞ』


恒一・レヴ

(追いつく!)『追いつく!』


ドォォォォォン!!


実況

「恒一・レヴナント組も来たぁぁぁ!!」

「離れない!!食らいつく!!」


観客席が揺れる。


残り五百メートル。


競走場が見えた。


巨大な歓声。


数万人。


実況

「帰ってきたぁぁぁぁ!!」

「先頭集団が競走場へ戻ってきます!!」


観客総立ち。


ボルグ・アイアンシェル。


ゼノス・グランヴァルド。


ミリア・フェルド。


恒一・レヴナント。


四組。


差は僅か。


実況

「勝負はこれからだぁぁぁ!!」

「最後の直線!!」

「誰が勝つのか!!」


恒一・レヴ

(レヴ)『ああ』


恒一・レヴ

(出し切るぞ)『出し切るぞ』


ボルグとアイアンシェルも


ゼノスとグランヴァルドも。


ミリアとフェルドも。


全員が最後の勝負へ入る。


王都中の歓声が響く。


勝負は、まだ終わらない。


――第八十話 終――

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