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第七十八話 接触区間

岩場区間。


先頭集団は一気に速度を落とした。


足場が悪い。


岩。


段差。


狭い通路。


ここで無理をすれば転倒する。


実況

「岩場区間突入!!」

「そしてこの先は接触許可区間です!!」


観客席が沸く。


ランキング戦最大の見せ場。


実力だけではない。


位置取り。


駆け引き。


度胸。


全てが問われる。


先頭。


ゼノス。


ボルグ。


二人は並んでいた。


ゼノス

「来たな!」


ボルグ

「……」


ゼノス

「楽しくなってきた!!」


グランヴァルド

『黙れ』


アイアンシェル

『邪魔だ』


ゼノス

「おぉ!喋った!」


ボルグ

「前を見ろ」


ドォン!!


グランヴァルドが加速する。


同時に。


アイアンシェルも加速。


実況

「出たぁぁぁぁ!!」

「同率一位対決!!ボルグとゼノスがぶつかる!!」


観客達の歓声が爆発する。


少し後方。


三位。


ミリア。


フェルド。


ミリア

「前が始めたわね」


フェルド

『好都合だ』


ミリア

「混乱に乗じるわよ」


フェルド

『ああ』


ミリア達は冷静だった。


無理に前へ行かない。


隙を待つ。


それが二人の戦い方だった。


そのさらに後方。


恒一。


レヴ。


順位は八位。


前にも後ろにも竜がいる。


恒一

「最悪だな」


レヴ

『囲まれている』


恒一

「知ってる」


実況

「恒一・レヴナント組!!」

「未だ動けません!!」

「外枠の影響がここで響いています!!」


その時だった。


一頭が右から強引に寄せてきた。


ゴン!!


レヴ

『む』


恒一

「来たな!」


相手騎手

「新人は後ろにいろ!!」


ゴン!!


さらに押す。


観客

「おおっ!」


実況

「接触だぁぁぁ!!」

「ランキング戦らしくなってきました!!」


恒一

「レヴ」


レヴ

『分かっている』


共鳴。


考える必要はない。


レヴが一歩ずれる。


押していた竜が前へ流れる。


その瞬間。


ドン!!


逆に肩をぶつけ返した。


相手竜

『!?』


レヴ

『邪魔だ!』


実況

「押し返したぁぁぁ!!レヴナント強い!!」


観客席が沸く。


だが、その直後だった。


左。


前。


後ろ。


三頭。


同時に寄ってくる。


恒一

「おいおい」


レヴ

『俺達人気者だな』


恒一

「嬉しくねぇな」


新人。


ランキング八位。


ボルグを倒した男。


だから狙われる。


実況

「恒一・レヴナント組!!」

「完全にマークされています!!」

「これは苦しい!!」


その時。


不意に恒一とレヴの思考が重なった。


言葉でも考えでもない。


感覚。


同じものが見えた。


右前方。


岩と岩の間。


他の竜なら通れない。


だが。


レヴなら。


恒一・レヴ

(行ける)『行けるな』


恒一・レヴナント

(行くぞ!)『ああ!』


次の瞬間。


ドォン!!


レヴが加速した。


実況

「なっ!?」


観客

「おおおおお!!」


実況

「狭い!!そこは狭すぎる!!」


岩の隙間。


普通なら通らない。


いや、通れない。


だが。


レヴは迷わない。


共鳴が完成した二人だからこそ。


恐怖も迷いもない。


一直線。


ドォォォォォン!!


一気に三頭を抜き去る。


実況

「抜いたぁぁぁぁぁ!!」

「恒一・レヴナント組!!」

「五位まで上がったぁぁぁぁ!!」


観客席が爆発する。


ミリア

「嘘でしょ……」


フェルド

『やるな』


ゼノス

「ははははは!!」


グランヴァルド

『来たか』


ボルグ

「……」


アイアンシェル

『面白い』


順位が動く。


レースも動く。


そして岩場区間の終わりが見え始めた。


実況

「さぁ次は丘陵区間!!」

「高低差との戦いです!!」

「そして終盤戦へ突入します!!」


恒一

「行けるか?」


レヴ

『当然だ』


恒一

「だよな」


五位。


まだ遠い。


だが先頭は見えている。


――第七十八話 終――

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