第七十七話 包囲網
バァン!!
スタートの号砲が響く。
同時に十八頭の竜が地面を蹴った。
ドォォォォォォン!!
地響き。
土煙。
歓声。
実況
「スタートしましたぁぁぁぁぁ!!」
「E級ランキング戦!!」
「全長五千メートル!!」
「王都外周特設コース!!」
「王都最強のE級を決める戦いが今始まりました!!」
先頭へ飛び出したのは。
実況
「速い!!」
「ゼノス・グランヴァルド!!」
八枠十八番。
大外スタートにも関わらず。
グランヴァルドは一気に前へ出た。
ゼノス
「行くぞぉぉぉ!!」
グランヴァルド
『うるさい』
実況
「速い!!」
「速い速い速い!!」
「いきなり先頭争いです!!」
その後ろ。
ボルグは動かない。
アイアンシェルも動かない。
一枠一番。
最内。
無理に位置を取りに行く必要がない。
ボルグ
「……」
アイアンシェル
『……』
静かだった。
実況
「ボルグ組は中団前方!!」
「慌てない!!」
「王者のレース運びです!!」
七枠十五番。
恒一・レヴナント。
スタートは成功。
だが、左右から次々と竜が迫る。
恒一
「うおっ!?」
レヴ
『近ずくな』
ゴン!
肩がぶつかる。
ゴン!
さらにぶつかる。
実況
「十五番恒一!!」
「囲まれたぁぁぁ!!外枠の不利が早くも出ています!!」
恒一
「クソ!」
レヴ
『焦るな』
恒一
「分かってる!」
共鳴。
完成した感覚。
だから分かる。
まだだ。
今はまだ動く時じゃない。
ミリア。
フェルド。
四枠八番。
絶好位。
ミリア
「いい位置ね」
フェルド
『理想的だ』
ミリア
「焦らず行くわよ」
フェルド
『ああ』
実況
「ミリア組は中団!!」
「完璧な位置取りです!!」
先頭集団。
ゼノス。
その直後に三頭。
さらに後ろにボルグ。
ミリア。
恒一。
十八頭は大きな集団となって進む。
そして競走場を抜けた。
実況
「出ました!!第一区間!!」
「森林区間へ突入です!!」
歓声。
歓声。
歓声。
観客席からは見えなくなる。
ここからは各地に配置された魔導映像が映し出される。
巨大スクリーン。
実況席。
全てがリアルタイムで中継される。
森林区間。
道幅が狭くなり、木々が迫る。
集団が縦長へ変わる。
ここでボルグとアイアンシェルが初めて動いた。
ドォン!!
実況
「出たぁぁぁぁ!!」
「ボルグ・アイアンシェル組!!」
「上がっていく!!」
一頭、また一頭。
無駄なく抜く。
最短距離。
最小動作。
気付けば先頭ゼノスの真後ろ。
実況
「来たぁぁぁぁ!!王者ボルグ!!」
「早くも前へ出ます!!」
恒一とレヴはまだ八番手。
前が詰まる。
抜けない。
左右も壁。
恒一
「ちっ」
レヴ
『まだだ』
恒一
「ああ」
レヴ
『まだだ』
恒一
「分かってる」
共鳴。
言葉は短い。
だが考えている事が同じだった。
実況
「恒一・レヴナント組!!」
「動かない!!」
「いや!!動けない!!」
「森林区間で完全に包まれています!!」
そして森林区間出口。
順位は。
一位 ゼノス
二位 ボルグ
三位 ミリア
八位 恒一
ほとんど変わらない。
だが、ここから先は違う。
実況
「さぁ来ました!!」
「第二区間!!岩場区間!!」
「そしてこの先には、接触許可区間があります!!」
観客席が沸く。
騎手達の目が変わる。
竜達の目も変わる。
ここから本当のランキング戦が始まる。
恒一
「来るぞ!」
レヴ
『ああ!』
共鳴は完成している。
準備も終わった。
後は勝つだけ。
――第七十七話 終――




